TOM成形とは?【フィルム加工・加飾の基礎知識】

ここでは、TOM成形の特徴やメリットのほか、真空成形とは何が違うのかを解説します。

TOM成形について

TOM成形とは、立体的な形状の基材に特殊なフィルムを貼り合わせる加飾方法をいいます。フィルムを過熱して軟化させ、加圧することによって基材にフィルムを密着させます。

木目など特殊なデザインを施したフィルムを使うことで、製品の意匠性を高めることが可能です。これにより、一般的な塗装よりも複雑な意匠を表現できます。また、フィルムで防水などの機能性を付与できるため、乗り物の内装・外装品や住宅機器など、幅広い分野で使用されています。

TOM成形のメリット

TOM成形のメリットは、さまざまな基材へ加飾できる点にあります。樹脂はもちろん、金属に対してもフィルムで加飾することが可能です。また、フィルムは直接貼り付けますので、エンボス加工などの質感をそのまま製品に反映させられます。フィルムの加工方法次第では、製品の付加価値を高められるでしょう。

TOM成形は製品の塗装が不要なため、薬剤や溶剤などの使用を抑えられます。製造工程での環境負荷も少ないことから、カーボンニュートラルや企業のSDGsへの取り組みにも寄与します。

真空成形との違いについて

TOM成形と似た成形方法に真空成形がありますが、圧力の加え方が異なります。TOM成形は下チャンバーを真空状態にした後、上チャンバーを加圧します。これによって上下のチャンバー間に圧力差が生じ、基材にフィルムが貼り付けられます。

一方の真空成形は、下チャンバーを加圧する一方、上チャンバーを加圧することはありません。上チャンバーが大気圧の状態で基材とフィルムを貼り付けます。そのため、TOM成形は真空成形よりも凹凸の大きな基材への適用が可能です。

TOM成形の工程は?

TOM成形は、以下のプロセスで基材とフィルムを貼り付けます。

  1. チャンバー内の圧力を大気圧にし、上チャンバーにフィルム、下チャンバーに基材をセットする
  2. 上チャンバーを降ろし、上下のチャンバーでフィルムを挟む
  3. 上下チャンバーを真空状態にし、フィルムを過熱して軟化させる
  4. 上下チャンバーの真空状態を調整しつつ、下チャンバーを上げて基材をフィルムに合わせる
  5. 上チャンバーを大気圧に戻し、気圧差で基材とフィルムを接着する
  6. 上チャンバーに圧縮空気を入れて加圧する
  7. 下チャンバーを大気圧に戻し、中から基材を取り外す

TOM成形で用いられる主なフィルムの特徴

タイガーアイ

虎の目のような模様が描かれたフィルムです。表面に凹凸があるほか、独特の手触りを持つなど意匠性の高さが特徴。主に自動車の内装品で使用されています。また、複雑な形状の基材にも適用しやすいメリットを持ちます。

メタル

表面に光沢と凹凸があるフィルムです。タイガーアイと同様に意匠性が高く、自動車の内装品で広く用いられています。一方、表面はメタリックなデザインパターンのため、タイガーアイとは異なる雰囲気に仕上がります。

光透過性シルバー・ヘアライン

鏡のように表面が反射する一方、光を透過させる性質を持ったフィルムです。シルバーは表面に柄がなく、光の当て方によって多彩な表現が可能。ヘアラインは、表面に髪の毛のような細い線が入っており、落ち着いたデザインに仕上がっています。

印刷可能フィルム

シルクスクリーン印刷を使用し、さまざまな模様を描くことが可能なフィルムです。オリジナルデザインを描けるため、製品の意匠性を高められるのが特徴。フィルムは透明ですので、光を当てて図柄を浮かび上がらせることも可能です。

TOM成形の主な用途例について

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