導電性接着剤

導電性接着剤とは?

導電性接着剤とは、名称が表すとおり、電気が流れる性質の接着剤です。もっと一般的な接着剤やはんだ(半田)などとの違いは、接合する温度および導電性の関係をまとめてみると、わかりやすくなります。一般的な接着剤は、低温での接合が可能ですが、導電性がありません。一方、はんだなどの金属接合は、導電性にはすぐれていますが、接合温度がかなり高くなってしまいます。

両者の問題点をクリアできるのが、導電性接着剤なのです。低温での接合が可能で、かつ、導電性も高いです。

フィルムに導電性接着剤が用いられる理由

低い温度での接合が可能

はんだ付けだと、温度は170~300℃ほどにまで達してしまいますが、導電性接着剤であれば、100℃以下で硬化させられるものもあります。 そのため、耐熱性の低いものを導電接合したい場合には、とても重宝します。加えて、エネルギー節約にもつながるため、脱炭素社会の実現にも貢献することが可能です。

酸化膜が頑丈な部材なども接合可能

ステンレスやアルミなどの金属は酸化膜が強固であるため、はんだ付けをすることのできない素材として知られています。けれども、導電性接着剤を使用すれば、この問題も解決します。というのも、導電性接着剤の場合は金属結合をするのではなく、バインダー樹脂が接着剤の役割をすることで接合をおこなう方法であるからです。酸化膜が原因で接合が困難になることはありません。

再溶融が起こらない

はんだを使うと、接合後、再度融点以上の温度に達した場合、半田合金が再溶融してしまうという問題が生じます。例えば、リフローはんだ付けで部品を実装した後、また別の部品をはんだ付けすると、実装済みである部品の半田が再溶融してしまい、その結果、位置がずれてしまうことがあるのです。ひどい場合には、脱落する可能性もあります。一方、樹脂が接着剤としての機能を発揮する導電性接着剤ならば、再溶融は起こらないわけです。

フラックス残渣が生じない

はんだ粉表面と接合する金属表面の酸化被膜・表面皮膜を取り除いてはんだがつく状態にしたり、金属表面の再酸化を抑制するなど、良い作用をもつフラックスですが、問題もあります。

それは、はんだ付け完了後、フラックスが「フラックス残渣」という燃えかすになり、それがプリント基板にトラブルを発生させるリスクがあるという点です。けれども、導電性接着剤であれば、フラックスを使わずに接合できるので、フラックス残渣が生じません。よって、洗浄工程が不要になります。

大型設備が要らない

表面実装の量産工程において、はんだ付けで使われるリフロー炉は、長さが5m超のものもあるなど、かなり大型です。けれども、導電性接着剤の硬化に使われる順風乾燥炉であれば、そこまで大型でなくても用が足ります。

参照元:科研テック(https://www.kaken-tech.co.jp/trouble/conductive_paste/#toc4)

導電性接着剤にデメリットはある?

リフローはんだ付けによる接合と比較すると、硬化にかかる時間のほうが、数倍長くなってしまいます。 また、材料コストがかさみがちであることにも注意しましょう。導電フィラーとして銀を含んでいるものが多いことが、その理由です。

ほかにも、はんだのようにはセルフアライメントが効かないところ、そして金属結合ではなく樹脂による接合であるため強度が下がりがちであるところなども、把握しておくべきデメリットだといえます。

導電性接着剤の種類

熱硬化タイプ

熱を加えることで樹脂を硬化反応させ、接着するタイプの導電性接着剤です。加熱硬化型と呼ばれることもあります。接着強度および導電性が高いのが特徴です。複数の種類がありますが、高い耐熱性も併せ持つエポキシ系樹脂を用いたものが、特に有名です。

乾燥タイプ

ペーストに含まれている溶剤成分が揮発し、さらに乾燥・固化すると導電性が生じる性質があります。熱硬化タイプほどの強度はないので、別の接合方法と併用されるのが一般的です。常温での使用が可能なので、耐熱性がかなり低いものにも使える導電性接着剤です。

導電性接着剤の使用方法

使用する際には、まず解凍する必要があります。密栓した状態で、室温で30分間以上放置しましょう。解凍できたら、接着剤塗布部分をアルコールやアセトンなどできれいにします。塗布する際には、ディスペンサーを用いることをおすすめします。また、塗布後はすみやかに恒温オーブンで硬化させましょう。 硬化させるときには、各接着剤の推奨硬化条件に従って加熱することが大切です。

参照元:化研テック(https://www.kaken-tech.co.jp/trouble/conductive_paste_usage)

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