ここではガスバリアフィルムについて、特徴やメリット、実際に導入されている商品を紹介しているので、ガスバリアフィルムに興味のある方は是非ご覧ください。
ガスバリアフィルムとは、その名称からも分かるように「ガス」を「バリア」する性質を持ったフィルムです。
一般的な樹脂フィルムには、目では見えないレベルの小さな穴があります。この穴が、気体であるガスを通してしまうのですが、ガスバリアフィルムであれば、ガスを遮断することができます。ガスを通しにくさは「ガスバリア性」と呼ばれており、ガスバリア性が優れている程、ガスを通しません。
つまり、ガスバリアフィルムも、ガスバリア性はそれぞれ異なります。その違いは素材によって異なります。
ただし、優劣ではなく用途の違いもあります。例えばプラスチックフィルムはガスバリア性は低いですが透明なので中身を見せやすいといったメリットがあります。逆にガスバリア性の高いものは、中身が見えにくいです。
ガスバリアフィルムにより、ガスバリア性を高めることで商品の酸化・変色などの劣化を防止することができます。長期間の保存も実現するなど、賞味期限・消費期限を延ばすことができます。
これらの期間が伸びることで、店舗の陳列期間が長くなり、売り上げアップが期待できます。廃棄ロスせざるを得なかったものが、売れるようになれば店舗にとってメリットとなるでしょう。
商品は賞味期限・消費期限内ではあっても時間と共に鮮度が落ち、劣化します。生もののように、できれば早く食してもらいたいものもありますが、ガスバリアフィルムを使用することで品質の維持・保持に役立ちます。
賞味期限・消費期限は分かりやすい指標ですが、味・鮮度は見た目では分かりにくいものです。
その点を、ガスバリアフィルムを用いることで維持・保持することで、「あのお店の商品は鮮度が良い」との評判を生み出すことにつながります。また、異臭を抑えることで他の商品への臭い移り防止にも役立ちます。
ガスバリアフィルムを採用することで得られる上記のメリットは、販路拡大をもたらします。輸送する際、コストだけではなく鮮度の問題もあります。
多くの人に手に取ってもらいたいとは思っても、輸送時間で鮮度が損なわれてしまうようであれば、「良い物を届ける」ことができません。
しかしガスバリアフィルムを使用し、鮮度を保つことで良い状態が長く続きます。それまでは時間的に難しいとされていた場所にも、輸送が可能になります。
ガスバリアフィルムを採用し、賞味期限・消費期限を延ばすことで廃棄ロスが期待できます。
特に近年、世界的にSDGsへの関心が高まっており、多くの企業が利益だけではなく持続可能な開発目標への取り組みが求められています。
ガスバリアフィルムを採用することで、「SDGsに取り組んでいる企業」としてアピールできます。
ガスバリアフィルムの素材は多々あります。そのため、ガスバリアフィルムを使用・採用する場合、「どの素材で作られているガスバリアフィルムなのか」まで考慮する必要があります。ここではガスバリアフィルムの主な素材を紹介します。
「PET」と略されることも多い素材で、石油由来の熱可塑性の樹脂です。透明性とガスバリア性や、耐油性・耐薬性にも優れています。伸縮性も強みとなっていますが、メリット面から無延伸フィルムとして採用されるケースもあります。
無色透明で、酸素・水の遮断性が強い点が特徴です。耐候性・耐薬品性・耐熱性の高さから、食品包装フィルムやラップに採用されているフィルムです。
アルミにはアルミニウムを伸ばしたアルミ泊と蒸着フィルムがあります。いずれも鉄の3分の1ほどの軽さでありながらガスバリア性に加え、光沢性、熱伝導性、断熱性、遮光性、防湿性に優れている点が特徴です。
ガスバリアフィルムの用途は幅広いです。ここでは実際に使用されている製品を紹介します。
乳製品にはガスバリア性が求められることから、頻繁に使用されています。他にも酸素の透過を制御し、酸化防止を考慮する生鮮食品にも採用されており、製品の賞味期限・消費期限を延ばすことが期待できます。
医薬品は酸素・湿度にデリケートなので、ガスバリアフィルムで包むことで、薬品を守ります。特に安定性を求められる薬剤・注射液では高いガスバリア性が求められます。
電子機器は湿度・酸素の影響を受けやすいです。製品そのものだけではなく、部品毎の劣化や機能不全を防止するためにガスバリアフィルムが使用されています。特に輸送・保管では必須です。
有害な化学製品にはガスバリアフィルムが使用されています。漏れや腐食を防ぐためだけではなく、取り扱い・輸送安全性のために採用されることもあります。また、ガスバリアフィルムを使用することで長期間の使用が実現します。
実際にガスバリアフィルムが使用されている製品を紹介します。使用されている製品を見ることで、ガスバリアフィルムがなぜ大切なのかを伺うことができます。
粘土とポリイミドを原料とするガス透過性の小さいバリアフィルムを用いたガスバリアフィルムです。水蒸気や酸素を透過させないハイガスバリア層をプラスチックフィルムの上にコーティングすることで、有機ELの劣化防止を期待します。
粘土とバインダーの混合割合を調整するだけではなく、穴の開いたステンレスに直接接合することで作成。
また、こちらのガスバリアフィルムは他の様々なガスバリア性評価装置試料ホルダーに取り付けることが可能となっています。これにより、プラスチック上に形成すると劣化してしまうフレキシブル有機ELディスプレイや有機EL照明の劣化防止に役立つことが期待されています。
酸素・水蒸気のバリア性に優れている蒸着のPETフィルムで、直接印刷が可能な種類もあります。温度・湿度への影響を少なくしていることで品質の安定維持・保持をもたらすだけではなく、酸化アルミが非導電性となっているため、電子レンジや金属探知機で使用できる点がメリットです。
一方で、塩素系の原材料を一切使用していないことから環境に優しい点もポイント。燃焼時に塩素化合物を発生させないため、廃棄後の焼却時に残滓を残しません。
参照元:東レフィルム加工|バリアロックス®(https://www.toray-taf.co.jp/products/barrialox.html)
水蒸気や酸素などのガスバリア性を備えています。アルミ箔・アルミ蒸着フィルムを使用しているこちらのフィルムは、香味・異臭成分の透過抑制が期待できる保香性や電磁波を通せる点、触接印刷が可能な点、さらには要望に合わせて他の基材との多層化が強みです。
また、ハロゲンフリーで製作されていることから、焼却時に有害ガスを発生させない点、加工時の異物混入もメリット。ちなみに植物由来のDNP植物由来包材 バイオマテックRを使用している環境配慮仕様バリアフィルムも用意しています。
参照元:大日本印刷|DNP透明蒸着フィルム IB-FILM®(https://www.dnp.co.jp/biz/solution/products/detail/1188728_1567.html)
公差実力値±0.05mm程度(素材・形状による) 参照元:オーティス公式HP(https://otis-group.com/blog/290/)
社内保有素材の場合は最短即日納品可能(目標6時間)
自社開発の生産設備を多数持ち、金型・治工具の内製化ができる体制により、開発・試作~量産と、製品開発を段階ごとにサポートできる。
今後、より求められる技術ニーズを捉えた、フィルムや金属箔などの加工実績があり、歩留まりの改善・難加工材への対応を実現。
±0.05~±0.3
場合によって即日対応するケースあり。通常、納期の目安は平均1週間程度。
ISOクラス1(1m²に0.1ミクロンのホコリが10個以下)のスーパークリーンルームを完備、医療品分野などでマストとされる要件を満たした加工環境を持つ。
PDMS(ポリジメチルシロキサン)成形や高精度の貼り合わせ加工、アッセンブリ、パッケージングまでワンストップで対応でき、短納期を実現。
打ち抜き規格±0.1mm(実力値では±0.05)対応可能
保有設備で対応可能な場合、最短当日出荷
打ち抜き加工のみならず、貼り付け・貼り合わせ・スリット・ラミネート・脱泡など幅広い加工に対応でき、取り扱い材料も多岐にわたる。
開発・試作段階から相談可能で量産試作~量産と製品開発を段階ごとにサポートでき、依頼企業の構内での製造・生産管理・設備のメンテなども受託可能。
【選定条件】
「フィルム加工メーカー」で検索し、公式サイト内で「プレス加工」「打ち抜き加工」に対応していることを明記している54社から、最短当日出荷が可能で、加工精度を明記し、さらに高機能フィルムにも対応する3社を選定。
(2022年2月9日時点)