位相差フィルムはどんなフィルム?

位相差フィルムとは

テレビやスマートフォンなど、身近な装置にも幅ひろく使用されている位相差フィルム。表示デバイスとして活躍しています。

液晶ディスプレイには、斜めの角度から画面を見ると色が変わって見えてしまうという問題があり、また、有機ELディスプレイには、外からあたる太陽光など、光の反射が原因で画面のコントラストが低下してしまうという問題があります。これらの問題を改善すべく開発された光学フィルムが、位相差フィルムなのです。

反射防止フィルムについて

反射防止フィルムとは、反射光をできるだけおさえて、画面の表面反射や映り込みなどの問題を改善するために使用されるフィルムのことです。この反射防止フィルムを使えば、たとえば液晶画面に外からの光が当たっても、その影響を抑え込めるので、よりきれいな画面を楽しめるようになります。有機ELディスプレイにも、反射防止のために使用されています。

ほかにも、パソコンやタブレットなどに使用されていることから、ディスプレイにとってはもはや、必要不可欠な部材のひとつになりつつあるといえるでしょう。

上述の位相差フィルムに関する説明から、位相差フィルムもまた、反射防止フィルムの一種であることをわかっていただけたかと思います。

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位相差フィルムの原理

位相差フィルムがコントラストの低下を抑える理由は、位相差フィルム単独ではなく、直線偏光板を組み合わせたものが機能していることが挙げられます。有機ELパネル上に位相差フィルムおよび直線偏光板を加えると、外から当たる光は、最初に直線偏光板によって「直線偏光」へと変換されます。そして次に、位相差フィルムで「円偏光」へと変換されます。

このときの円偏光は、入射時と比較すると90度回転した状態になっているので、直線偏光板を透過することができないのです。このように、直線偏光板・位相差フィルムのコンビネーションが、外から当たる光の反射を抑えて白浮きを軽減し、コントラストの低下を防いでいるのです。

加工法ごとの種類

フィルムに位相差位相差としての機能をもたせるための主な加工方法として、次の2種類があげられます。

延伸法

一定方向にフィルムを引っ張って分子の配向を変化させる加工方法です。例えば、ポリマーフィルムの場合は、延伸法によって絡み合う鎖状ポリマー分子を規則正しく並べ、位相差機能をもたせます。

塗布法

液晶材料をフィルムに塗布し、配向処理をすることで位相差機能を持たせます。例えば、液晶材料としてしばしば使用されるネマティック液晶は棒状の分子構造になっているので、配向膜に対して偏光照射をしたり布でこすったりすると液晶分子を任意の方向へそろえることができるのです。

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