フィルムインサート成形とは?【フィルム加工・加飾の基礎知識】

フィルムインサート成形とはどのような加工方法なのか、メリットや成形工程、用途例などをご紹介します。

フィルムインサート成形について

フィルムインサート成形とは、デザインが印刷されているフィルムを製品の形状に合わせて成形(プレフォーミング)した後、射出成形できる金型へ入れる成形法です。フィルムの余分な部分をカットすることで、フィルムと製品が一体化された形成品が完成します。

フィルムインサート成形では、機能性を付加したものや、デザインが印刷されたものなど、さまざまなフィルムを使用可能です。そのため、製品に機能性を追加したり、成形と同時に加飾したりできます。また、汎用性が高い成形法のため、家電製品の操作パネルや自動車の内装を始め、幅広い分野で使用されています。

フィルムインサート成形のメリット

フィルムインサート成形はデザイン性が高く、製品に多種多様な加飾が可能です。一般的な塗装では表現が難しい図柄もデザインできるほか、複雑な色味も出せるのが特徴。つや消しも行なえますので、通常のフィルム加工と比較してデザインの自由度が広く、意匠性を高められます。

また、成形前に製品の形状に合わせてプレフォーミングするため、加飾の位置精度が高いのもメリットです。家電の操作パネルのように、ズレがクオリティに影響する製品であっても、求められる位置にしっかりと印刷できます。

環境に優しい点もフィルムインサート成形のメリットです。塗装や表面のメッキ加工などに比べ、使用する有機溶剤の量が少ないため、環境への負荷を抑えられます。環境に配慮した製品として、アピール材料にすることもできるでしょう。

フィルムインサート成形の工程は?

フィルムインサート成形は、主に以下の流れで行われます。

  1. 製品の形状に合わせた金型にフィルムを入れ、ヒーターで加熱・軟化させる
  2. 真空・圧空などの作用で金型を押し当て、フィルムを製品の形状にフォーミングする
  3. 余ったフィルムをトリミングする
  4. 成形金型にトリミングしたフィルムをインサートする
  5. 金型を閉じた後、内部に樹脂を充填する
  6. 冷却し、金型を取り外して製品を取り出す

フィルムインサート成形の主な用途例

フィルムインサート成形の事例紹介

さまざまな用途に適用できるフィルムインサート成形。使用事例をいくつかご紹介します。

フィルムインサート成形の製品事例|洗濯機パネル(株式会社イワビシ ユニ研瀬戸工場)


画像引用元:イワビシ(https://uniken.co.jp/archives/industry/film-insert)

フィルムインサート成形で洗濯機パネルを製造した事例です。流線型のフォルムに電源ボタンや操作ボタンがしっかりと印刷されています。こちらを手がけたのはイワビシで、ユニ研瀬戸工場には多数の生産設備を備えています。

フィルムインサート成形の製品事例|自動車パネル(河村化工株式会社)


画像引用元:河村化工(https://www.kawamura-kako.co.jp/case/panel-s-a-instr-cstr-finish/)

自動車のパネルにフィルムインサート成形を適用した事例です。細かい部分までフィルムが接着されています。こちらを手がけたのは河村化工で、金型の内製からフィルムインサート成形まで、ワンストップで対応しています。

フィルムインサート成形の製品事例|樹脂カバーパネル(冨士ベークライト株式会社)


画像引用元:冨士ベークライト(https://www.fujibake.com/technology/fim.html)

樹脂のカバーパネルにフィルムインサート成形を利用した事例です。曲線など、形状が複雑な部分にもフィルム加工が施されています。こちらを手がけたのは冨士ベークライトで、同社は量産を見据えたサンプル試作も行っています。

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