フィルムインサート成形とはどのような加工方法なのか、メリットや成形工程、用途例などをご紹介します。
フィルムインサート成形とは、デザインが印刷されているフィルムを製品の形状に合わせて成形(プレフォーミング)した後、射出成形できる金型へ入れる成形法です。フィルムの余分な部分をカットすることで、フィルムと製品が一体化された形成品が完成します。
フィルムインサート成形では、機能性を付加したものや、デザインが印刷されたものなど、さまざまなフィルムを使用可能です。そのため、製品に機能性を追加したり、成形と同時に加飾したりできます。また、汎用性が高い成形法のため、家電製品の操作パネルや自動車の内装を始め、幅広い分野で使用されています。
フィルムインサート成形はデザイン性が高く、製品に多種多様な加飾が可能です。一般的な塗装では表現が難しい図柄もデザインできるほか、複雑な色味も出せるのが特徴。つや消しも行なえますので、通常のフィルム加工と比較してデザインの自由度が広く、意匠性を高められます。
また、成形前に製品の形状に合わせてプレフォーミングするため、加飾の位置精度が高いのもメリットです。家電の操作パネルのように、ズレがクオリティに影響する製品であっても、求められる位置にしっかりと印刷できます。
環境に優しい点もフィルムインサート成形のメリットです。塗装や表面のメッキ加工などに比べ、使用する有機溶剤の量が少ないため、環境への負荷を抑えられます。環境に配慮した製品として、アピール材料にすることもできるでしょう。
フィルムインサート成形は、主に以下の流れで行われます。
さまざまな用途に適用できるフィルムインサート成形。使用事例をいくつかご紹介します。
フィルムインサート成形で洗濯機パネルを製造した事例です。流線型のフォルムに電源ボタンや操作ボタンがしっかりと印刷されています。こちらを手がけたのはイワビシで、ユニ研瀬戸工場には多数の生産設備を備えています。
自動車のパネルにフィルムインサート成形を適用した事例です。細かい部分までフィルムが接着されています。こちらを手がけたのは河村化工で、金型の内製からフィルムインサート成形まで、ワンストップで対応しています。
樹脂のカバーパネルにフィルムインサート成形を利用した事例です。曲線など、形状が複雑な部分にもフィルム加工が施されています。こちらを手がけたのは冨士ベークライトで、同社は量産を見据えたサンプル試作も行っています。
公差実力値±0.05mm程度(素材・形状による)
社内保有素材の場合は最短即日納品可能(目標6時間)
自社開発の生産設備を多数持ち、金型・治工具の内製化ができる体制により、開発・試作~量産と、製品開発を段階ごとにサポートできる。
今後、より求められる技術ニーズを捉えた、フィルムや金属箔などの加工実績があり、歩留まりの改善・難加工材への対応を実現。
±0.05~±0.3
場合によって即日対応するケースあり。通常、納期の目安は平均1週間程度。
ISOクラス1(1m²に0.1ミクロンのホコリが10個以下)のスーパークリーンルームを完備、医療品分野などでマストとされる要件を満たした加工環境を持つ。
PDMS(ポリジメチルシロキサン)成形や高精度の貼り合わせ加工、アッセンブリ、パッケージングまでワンストップで対応でき、短納期を実現。
打ち抜き規格±0.1mm(実力値では±0.05)対応可能
保有設備で対応可能な場合、最短当日出荷
打ち抜き加工のみならず、貼り付け・貼り合わせ・スリット・ラミネート・脱泡など幅広い加工に対応でき、取り扱い材料も多岐にわたる。
開発・試作段階から相談可能で量産試作~量産と製品開発を段階ごとにサポートでき、依頼企業の構内での製造・生産管理・設備のメンテなども受託可能。
【選定条件】
「フィルム加工メーカー」で検索し、公式サイト内で「プレス加工」「打ち抜き加工」に対応していることを明記している54社から、最短当日出荷が可能で、加工精度を明記し、さらに高機能フィルムにも対応する3社を選定。
(2022年2月9日時点)