コロナ処理とは?テープ・フィルム加工工法まとめ

このページでは、フィルム加工においてさまざまな効果を生み出すコロナ処理とは何か、基礎知識や用途、コロナ処理で気を付けるべき点について解説します。

コロナ処理とは?

コロナ処理とは、ポリエチレンやポリプロピレンでできたフィルムなどの表面に高周波をあてる「コロナ放電」を施すことにより、フィルム表面の質を変化させる処理技術です。

コロナ放電は、青い光とわずかな音が発生して放電することにより起こります。このときに発光する様子が、太陽が発するコロナと似ていることから、コロナ放電と呼ばれるようになりました。

フィルムやシート状の樹脂など、薄い材料を表面処理する際に採用されます。

そもそも、プラスチックのフィルムは表面張力が低く、そのままの状態では印刷やコーティングの際に濡れ剤がうまく接着しません。

コロナ処理を行うと表面張力が大幅に向上するため、インクやコーティング剤、接着剤などが密着しやすくなります。

コロナ処理の主な用途

コロナ処理の用途には、以下のようなものがあります。

コロナ処理は、インクやコーティング剤、接着剤を密着させるために印刷の前処理に行われるほか、ラミネート処理にも使われます。

また、濡れ性を高めるために金属箔の油膜を除去する際やプラスチックボードなどの曇り止め、コロナ処理の特性を活かして、添加剤の表面ブリードを促進する目的でも利用されます。

コロナ処理で表面張力が高まる理由は?

空気中でコロナ放電すると、空気中の酸素分子が解離して、酸素原子のエネルギーが高い状態になります。すると、酸素イオンや酸素ラジカルなどが発生します。

これがフィルムの表面にあたると、基材表面の分子との反応が起き、「親水性官能基」が生成されます。この工程でフィルム表面が活性化して表面張力が高まる仕組みです。

ポリエチレンを例に挙げると、未処理のフィルムでの表面張力の値は約30dyn(ダイン)ですが、コロナ処理後には38~43dynにまで高まります。

コロナ処理で密着力が高まる理由は?

コロナ処理によって生成される「親水性官能基」は、分子の構造上、他の極性分子と引き寄せ合う特徴を持っています。

そのため、フィルムなどの樹脂が極性分子を含んでいれば、お互いが引き寄せ合って密着力が強くなります。逆に、塗工する樹脂に極性分子が含まれていなければ、コロナ処理を施しても密着性は高くなりません。

ぬれ性とは?

ぬれ性とは、コロナ処理による固体表面に対する液体の付着しやすさや改質の度合いを測る単位のことで、「ぬれ張力」とも呼ばれます。

ぬれ性は、印刷のしやすさやインク剤などの接着性に密接な関係があります。

印刷やコーティング、貼り合わせなど、目的によって必要なぬれ性が異なるほか、接着剤などの塗工材料によっても変わるため、コロナ処理では、目的のぬれ性を得るにはどの程度の放電量が必要かを把握することが重要です。

また、コロナ放電量を変えることで、ぬれ性がどのように変化するかを計測する際に採用されます。

コロナ処理ができない素材は?

テフロンフィルムや高分子ポリマーのような素材は、一般的にはコロナ処理が難しいと言われています。その場合、前処理としては行わず、中間工程でコロナ処理することによって接着性や濡れ性が改善できる可能性はあります。

コロナ処理によるフィルム加工で注意するべきこと

ここからは、コロナ処理によるフィルム加工で起こりやすい問題や注意すべき点について解説していきます。

傷の問題

適切にコロナ処理を行えばフィルム基材の表面は改質されますが、コロナ放電の出力には注意が必要です。放電出力が高すぎると、キズが付きやすくなってしまいます。

両面コロナ処理でのブロッキング

基材の両面にコロナ処理を施す際にも注意が必要です。コロナ処理ではインクの乗りが良くなったり密着性が高まったりする効果がありますが、ぬれ性を高くして時間が経過すると、原反ロールの巻内と巻外がくっついて剝がれなかったり、インク同士が密着して反対面に転写されてしまったりする場合があります。これをブロッキングと言います。

裏ヌケ

通常、コロナ処理を行った後は処理面のみのぬれ性が高まりますが、コロナ処理の度合が強すぎると、ぬれ性が高まる効果が処理面の裏側にまで抜けてしまう場合があります。この現象が「裏ヌケ」です。

裏ヌケを起こしてしまわないよう、基材にあった放電条件で処理することが大切です。

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