キャリアテープは、マイクロチップのような微細な電子部品を扱う上でかかせない存在といえます。
キャリアテープの役割は、極めて小さくデリケートな電子部品を個別に保護し、安全に目的地まで届けることです。輸送中に部品同士が接触して破損したり、静電気によって性能が損なわれたりするのを防ぎます。また単なる梱包資材に留まらず、製造ラインにおける生産性を大きく左右する役割も担っています。部品がテープに整然と収められていることで、後工程であるマウンター(部品組立機械)による自動実装をスムーズにし、作業効率を向上させることができるのです。
キャリアテープは、テープ状のシートに「ポケット」と呼ばれるくぼみが連続して設けられた構造をしています。このポケット一つひとつに電子部品が収納され、その上からカバーテープと呼ばれるフィルム状のテープで蓋をします。
部品が封入されたキャリアテープはリールに巻き取られ、部品メーカーから組立工場へと出荷。この一連の仕組みにより、数千から数万個という大量の部品をコンパクトに、かつ安定した品質で供給することが可能になります。
エンボスキャリアテープは、ポリスチレン(PS)やポリエチレンテレフタレート(PET)といった樹脂シートを加熱成形して作られるキャリアテープです。真空成形やプレス成形といった方法でポケットを形成するため、部品の複雑な形状に合わせた自由度の高い設計が可能。特に、汚染を嫌う微細な電子部品の梱包に適しており、スマートフォンのような精密機器の製造に広く採用されています。
紙を主材料としたキャリアテープで、エンボスキャリアテープに比べて低コストである点が大きなメリットです。しかし、製造時に紙粉が発生する可能性があり、クリーン度が求められる微細部品には不向きな場合があります。また、深いポケットの成形が難しいという構造上の制約もあります。
半導体部品の多くは静電気に非常に弱く、わずかな静電気でも破壊されてしまうことがあります。そのため、静電気対策が施されたキャリアテープが不可欠です。材質にカーボンブラックなどを練り込んだキャリアテープや、シートの表面に帯電防止処理を施した製品などもあり、梱包する部品の特性に応じて適切な材質が選ばれます。
最大のメリットは、生産性の向上です。小型化が進み、手作業での取り扱いが困難になったチップ部品も、キャリアテープに整列して梱包されていれば、マウンター(実装機)による高速かつ正確な自動実装も可能になります。これにより電子基板への部品実装スピードも向上できるのです。
部品を一つひとつ独立したポケットに収納するため、輸送中の振動や衝撃で部品同士が衝突し、破損するリスクを抑えられます。特に、水晶振動子のように内部構造が繊細な部品や、コネクタのような変形しやすい部品も、それぞれの形状に合ったポケットで保護することで、安全な輸送が可能です。
電子部品の梱包資材としてはトレイもありますが、キャリアテープはトレイと比較して軽量で、ポケット一つあたりの単価も低い傾向にあります。リールに巻き取ることで一度に大量の部品を梱包・輸送できるため、保管スペースの削減や輸送コストの低減にも繋がります。
抵抗器、コンデンサ、インダクタなど、0201(0.2mm×0.1mm)といった極小サイズの部品です。スマートフォンやIoT機器に数多く使用され、キャリアテープによるマウンターへの効率的な供給が行われています。
ダイオード、トランジスタ、IC(集積回路)などです。これらは静電気に非常に弱いものが多いため、導電性や帯電防止性を持つキャリアテープへの梱包が用いられます。サイズや形状も多岐にわたるため、部品に合わせたポケット設計が求められます。
水晶振動子など、内部構造がデリケートで振動や衝撃に弱い部品です。キャリアテープで個別に保護することにより、性能の劣化を防ぎます。
コネクタなど、比較的大型で複雑な形状を持つ部品です。部品形状に合わせた専用のポケットで梱包することで、端子の変形や破損を防ぎます。
電子部品の自動実装ラインでは、ポケットの位置や形状にわずかなズレがあるだけで、実装ミスという重大な不良に繋がります。そのため、キャリアテープには数μm(マイクロメートル)単位の高い寸法精度が要求されます。この精度を実現するために、主に以下の3つの成形方式が用いられます。
加熱して柔らかくした樹脂シートを、金型との間を真空にすることで吸着させて成形する方式です。
加熱したシートを上下の金型で挟み、同時に圧縮空気を送り込んで金型に押し付けて成形します。深絞り成形に適しています。
加熱したシートを上下の金型で挟み込み、圧力をかけて成形する方式です。ポケットの寸法精度が出やすく、異形状の成形に向いています。
公差実力値±0.05mm程度(素材・形状による) 参照元:オーティス公式HP(https://otis-group.com/blog/290/)
社内保有素材の場合は最短即日納品可能(目標6時間)
自社開発の生産設備を多数持ち、金型・治工具の内製化ができる体制により、開発・試作~量産と、製品開発を段階ごとにサポートできる。
今後、より求められる技術ニーズを捉えた、フィルムや金属箔などの加工実績があり、歩留まりの改善・難加工材への対応を実現。
±0.05~±0.3
場合によって即日対応するケースあり。通常、納期の目安は平均1週間程度。
ISOクラス1(1m²に0.1ミクロンのホコリが10個以下)のスーパークリーンルームを完備、医療品分野などでマストとされる要件を満たした加工環境を持つ。
PDMS(ポリジメチルシロキサン)成形や高精度の貼り合わせ加工、アッセンブリ、パッケージングまでワンストップで対応でき、短納期を実現。
ラミネート公差 ±0.2 mm・スリット幅 1 mm~対応
小ロット5 m~試作対応、短納期サンプルも相談可
打ち抜きだけでなく、貼り付け・貼り合わせ・スリット・ラミネート・脱泡まで⼀貫対応。多種材料をワンストップで提案。
R2R/R2S/S2Sの3方式ラミネート+独自カール矯正&クラス1 000クリーン環境で薄膜もフラット・気泡レスに仕上げ、試作から量産までサポート。