ここでは、フィルム加工会社のリサイクル・環境負荷への対策について紹介します。自社SDGs対策の一環として、加工依頼する際の参考にしてください。
フィルム加工された製品の中でも、PP加工などラミネート加工された製品はリサイクルができます。
PP加工のフィルムは、古紙リサイクル適正ランクのBランクになります。Bランクは「紙へのリサイクルには阻害となるが、板紙へのリサイクルには阻害とならない」と定義されており、リサイクルは可能です。
PP加工された製品は、板紙向けの製紙原料として使用できます。板紙向けにリサイクルされた製品の用途は、紙箱や絵本、段ボール箱などです。古紙の利用率は板紙が高く、「紙」よりも高くなっています。フィルム加工された製品は真っ白な紙としてリサイクルすることはできませんが、その他にもさまざまな用途で再利用されているのです。
PP加工された紙を利細工する業者も多く、片面PPも両面PPもリサイクルを請け負っています。
フィルム製造・加工を行う会社のSDGs対応例をまとめました。
東レ株式会社では、塗布性と強固な密着性に優れている環境負荷低減PETフィルムを開発しました。国内工場での生産化を2023年度中に目指しており、環境負荷低減PETフィルムの普及に貢献しています。
有機溶媒を使うPETフィルム加工は、環境負荷が問題視されています。近年はVOCフリーの塗料の開発が進んでいますが、VOC塗料は従来のPETフィルムに塗布すると、はじきや不良が発生しました。
東レが開発したPETフィルムは水との親和性が高く、水性塗料に対して良好な塗布性があります。VOCフリー塗料だけでなく、無溶媒塗料に対しても優れた塗布性と密着性を発揮します。リサイクルPET原料を用いたEcouse®、ルミラー®にも適用できます。そのため、製造から塗料の加工工程まで、一貫して環境負荷低減が可能です。
東レ株式会社、三井化学株式会社、株式会社熊谷が合同で開発したのが、環境にやさしいモノマテリアルフィルム包装材とその製造技術です。開発されたモノマテリアルフィルム包装材は製造過程でのVOCフリー化を実現しており、従来品と比べて80%ものCO2排出量を削減しています。
一般的なフィルム包装材を製造する工程では、プラスチックフィルム上に印刷する際に使用するインキや接着剤に石油系溶剤が含まれており、工程や設備で多量の電力エネルギーを使用します。しかも、リサイクルが困難なため、廃棄物として焼却処分されるのです。
これに対して開発されたのが、石油系溶剤を使用しないモノマテリアル包装材です。リサイクルにも対応しており、人と環境にやさしい包装材となっています。
凸版印刷株式会社、三井化学東セロ株式会社、三井化学株式会社は、軟包材フィルムの水平リサイクル実験を開始しました。この実証実験を行う目的は、軟包材フィルムの水平リサイクル技術を確立し、軟包材フィルムの水平リサイクルの普及させることです。
日本政府は2025年までにリユース・リサイクルが可能な材質構成に置き換えることと、2030年までに包装の6割のリサイクルを策定しています。
使用済みフィルムの回収や印刷除去、再生フィルムの製膜・品質管理、使用済みOPPフィルムの提供や販売マーケティングの役割を3社が分担し、取り組みを通じてプラスチック資源循環戦略のマイルストーンに沿った社会実装を目指しています。
2021年1月から販売を開始したのが、農業用フィルム「エコカルマルチ」です。農業用フィルムにはポリオレフィン系プラスチックのマルチフィルムを使用し、畑の畝を覆う資材として使用されます。
年2回ほど回収される農業用フィルムは中国や東南アジアに輸出され、固形燃料や焼却して熱エネルギーとして再利用されていました。しかし、廃プラスチックの輸入を禁止する国が増え、産業用フィルムの廃棄は国内で行われることになりました。廃棄のためのフィルムの回収や排気料は2倍以上になり、農家にとっての負担も増えています。
大倉工業の農業用フィルム「エコカルマルチ」なら、使用済みのフィルムを洗浄・粉砕し、同じ製品の原料として再利用ができます。リサイクルが難しいとされていた農業用フィルムも、エコカルマルチならプラスチック製品のリサイクルを叶えてくれるでしょう。
ポリ乳酸(PLA )を主原料とする生分解性フィルムは、弱酸性で制菌性・耐寒性に優れているフィルムです。植物由来のPLAを主な原料としており、従来のプラスチック製品と比較すると大幅なCO2削減効果が期待できます。
成形品の加工もでき、ブリスターパックやカレンダーケースなど、さまざまな用途に使用されています。
生分解性フィルムを採用することで、プラスチックの使用料削減やCO2の削減により環境負荷の低減を目指すことが可能です。
近年、SDGsの取り組みは広がりを見せ、大企業から中小企業まで広く取り組んでいます。
SDGsに貢献することで、企業のイメージ向上につながります。イメージの良い企業は商品を選択されやすく、優秀な人材の確保にもつながりやすくなるでしょう。行政やNPOとのつながりも生まれ、新たな革新を生むきっかけにもなります。
フィルム加工依頼の際は、依頼する加工会社のSDGs対策などもチェックしてみるとよいでしょう。
公差実力値±0.05mm程度(素材・形状による)
社内保有素材の場合は最短即日納品可能(目標6時間)
自社開発の生産設備を多数持ち、金型・治工具の内製化ができる体制により、開発・試作~量産と、製品開発を段階ごとにサポートできる。
今後、より求められる技術ニーズを捉えた、フィルムや金属箔などの加工実績があり、歩留まりの改善・難加工材への対応を実現。
±0.05~±0.3
場合によって即日対応するケースあり。通常、納期の目安は平均1週間程度。
ISOクラス1(1m²に0.1ミクロンのホコリが10個以下)のスーパークリーンルームを完備、医療品分野などでマストとされる要件を満たした加工環境を持つ。
PDMS(ポリジメチルシロキサン)成形や高精度の貼り合わせ加工、アッセンブリ、パッケージングまでワンストップで対応でき、短納期を実現。
打ち抜き規格±0.1mm(実力値では±0.05)対応可能
保有設備で対応可能な場合、最短当日出荷
打ち抜き加工のみならず、貼り付け・貼り合わせ・スリット・ラミネート・脱泡など幅広い加工に対応でき、取り扱い材料も多岐にわたる。
開発・試作段階から相談可能で量産試作~量産と製品開発を段階ごとにサポートでき、依頼企業の構内での製造・生産管理・設備のメンテなども受託可能。
【選定条件】
「フィルム加工メーカー」で検索し、公式サイト内で「プレス加工」「打ち抜き加工」に対応していることを明記している54社から、最短当日出荷が可能で、加工精度を明記し、さらに高機能フィルムにも対応する3社を選定。
(2022年2月9日時点)