太陽光パネルに使われるフィルム加工技術

太陽光パネルには、どのようなフィルム加工技術が使われているのでしょうか。ここでは、太陽光パネルに使用されるフィルム加工技術についてまとめています。

太陽光パネルの課題

太陽光パネルは紫外線や太陽の熱、雨風に常にさらされている状態です。そのため、雨風等の天気による影響を受けやすく、破損のリスクがあることが課題です。

その他、自然災害や飛来物による破損、鳥の糞や落ち葉などの汚れによる破損など、破損によって起きる発電効率の低下や故障など、さまざまな影響が起こります。

バックシート

太陽光パネルの破損は、表だけでなく裏面からの影響もあります。裏面は湿気や熱、紫外線によって劣化しやすく、そのようなダメージから保護してくれるのがバックシートです。

太陽光パネルのバックシートは耐候性・耐光性・難燃性・バリア性に優れており、太陽光パネルのセルを守る重要な部材として使用されています。長期間にわたって厳しい環境で使用しても劣化しにくく、太陽光パネルを保護することが可能です。

バックシートはPETフィルムやフィルムを粘着剤で貼り合わせた多層構造になっています。接着剤もバックシート専用の劣化しにくい製品を使用しているため、太陽光パネルの長寿命化にも役立つでしょう。

参照元：TOPPANホールディングス株式会社公式HP（https://www.holdings.toppan.com/ja/about-us/cad/vol1-idx1.html）

太陽電池用封止シート

太陽光パネルの内部に雨水や異物が浸入するのを防ぎ、セルに伝わる衝撃を和らげるために使用されているのが「太陽電池用封入シート」です。過酷な環境で使用される太陽光パネルを保護するために、耐熱性、耐高温性、耐高湿性、耐候性の4つの性能に優れた製品を開発しています。

太陽電池用封止シートは酸が発生しないため、初期出力レベルを長期間維持することが可能です。そのため、総発電量の向上が期待でき、使用可能な電力の増加につながります。

水蒸気透過率にも優れており、吸水率が低いため耐水性が向上します。耐水性に優れていることから、豪雪地帯などの厳しい環境でも一定の発電を維持することが可能です。太陽光パネルの故障リスクも軽減できるため、故障・破損による修理や取替のコストダウンも期待できるでしょう。

参照元：三井化学東セロ株式会社公式HP（https://www.mc-tohcello.co.jp/product/solar/solar.html）

光触媒防汚フィルム

光触媒防汚フィルムは、光触媒がコーティングされているフィルムです。光触媒のコーティングによって太陽光パネルに付着した油分を分解する効果があります。セルフクリーニング機能も備わっており、付着した汚れは雨で洗い流します。

フィルムが汚れにくいため、発電力の低下を防げるのが特徴です。ガラスが曇るのを防いで、きれいな状態を保つことができます。耐用年数は約20年となっており、耐久性の面でも期待できるフィルムです。

参照元：イプロスものづくりHP（https://www.ipros.jp/product/detail/2000249620/）

ガスバリアフィルムによる水蒸気・酸素への対策

太陽光パネルの水蒸気・酸素による劣化を防ぐには、バリア層の密度の高いフィルムを使用することです。ガスバリアフィルムは独自の製法で開発されたフィルムで、通常のフィルムと比較してバリア性に優れた性質があります。

フィルムはプラスチックフィルムの表面にセラミックなどを使用したバリア層を形成しており、厚さは数100nmとなっています。薄さと柔軟性は保持しており、太陽光パネルの他、電子ペーパーや有機ELデバイスにも使用されているフィルムです。ガスバリアフィルムを使用すれば、水蒸気と酸素からデバイスを保護することが可能です。

ガラスの代わりにガスバリアフィルムを使用することで、ガラスの重い・厚い・柔軟性がないといった課題をクリアすることができます。さまざまな形状の建物にも設置しやすく、フレキシブルに利用できるでしょう。

ウェットコーティング技術と表面改質技術によって開発されており、ほかにはない水蒸気透過バリア性を実現しています。

参照元：OpteriaHP（https://www.opteria-global.com/case/interview_04.html）