医療の現場では、検査機器で使用されるマイクロ流路チップや心電図計などに使われる電極固定パッドなど、さまざまな医療機器にフィルムが活用されています。
血液検査やPCR検査の装置、またゲノム解析用の機器などに、フィルムなどで作られたマイクロ流路チップが使用されています。マイクロ流路チップは、髪の毛ほどの微細な流路(溝)が刻まれた樹脂やガラスのプレートで、検体と試薬を最適なタイミングで反応させるために使用されます。これによって、従来は人がスポイトを使い、タイミングを図って試薬を加えていた作業を大幅に省力化できるとともに、試薬の節約も可能になりました。
マイクロ流路チップの材質はさまざまで、PET、EPDM、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート、環状オレフィン系樹脂(COC、COP等)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、またガラスも使用されます。ガラスは樹脂フィルムより安定性がありますが、加工が難しく高コストです。
施設や店舗の出入り口に設置され、非接触で体温を測定したり消毒用アルコールを噴霧したりする装置には、温度センサーや近接センサー、赤外線センサーなどが組み込まれており、光学系のフィルムや耐熱フィルム、絶縁フィルムといったフィルム製品が使用されています。また、装置を組み立てる際にも、フィルムを加工した粘着テープが使用されています。
光学フィルムにはTACやPETが、絶縁性が求められる部位にはPI、PEN、PPSなどが使用されます。中でもPIは耐熱性や耐電圧性、低熱膨張率、耐薬品性に優れており、パーツ組み込み時の接着テープとしても多用されます。
心電図計や電気治療器(EMS)といった医療機器を使用する際に、電極などを固定するために使用される粘着パッドやサージカルテープは、フィルムの加工によってつくられています。粘着パッドは、使用目的によって求められる粘着性や導電性が異なるため、機器に応じた調整がなされています。サージカルテープは、電極以外にもカテーテルやチューブ、ガーゼを固定する目的などで使われています。
粘着パッドは、PMMAなどの支持体に医療グレードのゲルの間に電極素子やリード線を挟み込んで作られています。心電図などの生体センサー向けには低インピーダンス、EMSなどの筋肉刺激用には高インピーダンスのゲルが使われます。サージカルテープの材質は不織布や和紙、ポリエステル、ポリオレフィン、シルクなどで、アクリル系やシリコーン系の粘着剤が使われています。
PTP包装シートは、薬の錠剤やカプセルをアルミニウムと樹脂で挟んで包装したもの。PTPは“press through pack”を指します。このPTPシートは、薬を清潔に保つとともに、湿気や紫外線で変質するのを防いでくれます。横方向にミシン目が入っていて2錠ずつ切り離せるようになっていますが、誤飲事故を防ぐため、縦方向には切り離せない仕様になっています。
PTP包装シートのボトム材にはアルミが、フタ材にはポリプロピレンや塩化ビニルが多く使われています。医薬品の包材ではバリア性が重視され、ガスや水蒸気の透過性が低いハイバリア材料が求められます。
打撲などの炎症を抑えるために使われる湿布(パップ剤)は、不織布の基布(支持体)にゲル状の軟膏を塗布したものです。薬剤が塗布された面は、薄い剥離シートで保護されています。この剥離シートはフィルム材を加工して作られていますが、めくりやすいように切れ目が入っていたり、位置決めが容易なように剥離力に差をつけてあったりといった工夫がなされています。
湿布の剥離シートには、無延伸ポリプロピレン(CPP)やポリエステルのフィルムにエンボス加工を施したものが使用されています。エンボス加工によってフィルムがよりしなやかになり、離型性も高くなります。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マスクと共に需要が急増したフェイスシールド。PETフィルムを使用して成形されており、液体・飛沫から装着者の顔や目を防護し、マスクを外しても唾が飛散しにくいため、手話通訳者が使用したケースもありました。
文具メーカーのコクヨが自社製品のクリヤーホルダーをフェイスシールド代わりに医療従事者に提供した例もあり、多くはPETが使用されています。ただ、呼気や熱気などで曇ってしまうことがあるため、防曇加工したTAC(セルローストリアセテート)フィルムを使用するメーカーもあります。
新しいアイテムを製品化したいという希望がありますが、そのアイテムを作るにあたりどの材料を使用したら良いかさえ知見がありませんでした。また、同じようなアイテムを生産している企業に外注依頼しましたが、受付けてもらえませんでした。
オーティス社に相談したところ、不織布・テープ・セパレーターなど自社開発素材以外の必要な材料、ディスペンサーといった設備を含め、加工を引き受けてもらえました。
当初自社で提案した材料で検討を進めてもらいましたが、自社開発素材とテープの相性が良くないことが判明。再度いくつかのテープを提案しましたが、問題を解決できるものは見つかりませんでした。
そこでオーティス社はテープメーカーと共同で、新たな粘着テープを開発。新たにできあがった粘着テープを評価し、問題ないことを確認したため、このテープを使用した構成で製品化することができました。オーティス社は、自分たちの提案に対しまず挑戦してくれるところが心強いです。
初めて海外で商品を販売するため、製品開発と生産を一緒に行えるパートナーを探索。使用する成分が環境へ与える影響を抑えることも重要な課題であり、環境に優しい素材や製造方法を提案してくれる企業を探していました。
オーティス社は「ISO14001」「ISO9001」を取得しているため、品質・環境への配慮や意識も高い企業です。開発段階から安心して相談でき、建設的に開発を進めることができました。防虫対策の製品だったため、何度も治験を重ねて製品化することに成功。
製品化まで長い時間がかかりましたが、オーティス社は治験場にも足を運んで終始根気よく対応してくれました。また、自社海外拠点へアクセスが良い場所にオーティス社のタイに工場があり、量産後も納品や対応が早くて助かっています。日本と同じ品質を保てることも魅力です。
血管のように収縮性があって、ガス透過性のある疑似血管を作りたいという課題です。
3層のPDMSシートの中間層に流路を加工し、3層をプラズマにて分子結合したマイクロ流路を作成。それをカメラ補正しながら流路部分の外形を加工し、疑似血管を作成しました。PDMSのゴム弾性でしなやかに伸びます。
公差実力値±0.05mm程度(素材・形状による)
社内保有素材の場合は最短即日納品可能(目標6時間)
自社開発の生産設備を多数持ち、金型・治工具の内製化ができる体制により、開発・試作~量産と、製品開発を段階ごとにサポートできる。
今後、より求められる技術ニーズを捉えた、フィルムや金属箔などの加工実績があり、歩留まりの改善・難加工材への対応を実現。
±0.05~±0.3
場合によって即日対応するケースあり。通常、納期の目安は平均1週間程度。
ISOクラス1(1m²に0.1ミクロンのホコリが10個以下)のスーパークリーンルームを完備、医療品分野などでマストとされる要件を満たした加工環境を持つ。
PDMS(ポリジメチルシロキサン)成形や高精度の貼り合わせ加工、アッセンブリ、パッケージングまでワンストップで対応でき、短納期を実現。
打ち抜き規格±0.1mm(実力値では±0.05)対応可能
保有設備で対応可能な場合、最短当日出荷
打ち抜き加工のみならず、貼り付け・貼り合わせ・スリット・ラミネート・脱泡など幅広い加工に対応でき、取り扱い材料も多岐にわたる。
開発・試作段階から相談可能で量産試作~量産と製品開発を段階ごとにサポートでき、依頼企業の構内での製造・生産管理・設備のメンテなども受託可能。
【選定条件】
「フィルム加工メーカー」で検索し、公式サイト内で「プレス加工」「打ち抜き加工」に対応していることを明記している54社から、最短当日出荷が可能で、加工精度を明記し、さらに高機能フィルムにも対応する3社を選定。
(2022年2月9日時点)