剥離フィルムとは?構造・用途について

ここでは、ありとあらゆる分野で採用されている剥離フィルムについて、特徴や構造、剥離剤の種類などをまとめています。

剥離フィルムとは

剥離フィルムとは、ベースとなる紙やフィルムに剥離剤を加工したもので、樹脂成膜の下地や粘着面保護を目的に使用されています。シート状の製品は被着体への取り付けが非常に簡単で、利便性が高いのがポイントです。しかし、使用直前まで剥離フィルムで粘着面を保護する必要があるという点には注意しなければなりません。

剥離フィルムの構造

剥離フィルムは、ベースとなるPETフィルムと剥離剤の2層構造で構成されています。また、ベースが紙である場合、剥離剤が紙にしみ込まないよう間にバリア層を設けているのです。なお、ベースとなる紙には、グラシン紙や上質紙などが使われています。

剥離剤の種類

剥離フィルムや剥離紙に使う剥離剤は、大きくシリコーン系と非シリコーン系の2種類に分けられます。シリコーン系の剥離剤は一般的な粘着製品に使われており、非シリコーン系よりも前から採用されています。

非シリコーン系の剥離紙はシリコーン系よりも新しく、主に電子機器などで使用されます。近年では、フッ素系剥離剤なども登場しています。

剥離フィルムの付加機能

背面への印刷

剥離フィルムの背面に印刷を行えば、平滑性が求められる用途で活用できます。ベースとの間に印刷することで、処理面の凸凹につながるのです。

帯電防止

剥離フィルムは、製造時に除電装置による帯電除去を行っていますが、フィルム使用時に再度帯電する恐れがあります。もしもフィルムが帯電していると、被着体にスタティックマークが現れたりホコリを吸い寄せるリスクも。そんな時、あらかじめ剥離フィルムに帯電防止処理を施しておくことで、帯電圧を抑えられます。

粗化

表面の粗化として、フィラーコーディングやエッチング、サンドブラストやフィラー練り込みといった処理を行うことも可能です。

平滑化

平滑度を上げる方法として、一般的には高平滑基材が使われます。しかし、剥離フィルムへの加工でも平滑化が可能です。

スクラッチ防止

剥離フィルムを貼り付けたまま検査を実施する場合や光学製品に貼り付けて出荷する場合は、スクラッチマークが現れないように透明度と表面硬度の高いハードコート剤で加工します。また、滑り性を向上する材料の使用も有効です。

スクラッチ防止

保護用

剥離フィルムの使用用途のほとんどは、粘着層を汚れやダメージから守るためです。粘着層を保護するための具体的な使用例は、電子機器の基板、プリント基板の銅箔、インクジェット印刷基材、自己粘着ラベルなどが挙げられます。

なお、貼り付けた剥離フィルムをきれいにはがせるよう、フィルム表面にラミネート加工を採用しているケースがほとんどです。

キャスト用途

剥離フィルムの表面にセラミックスや樹脂などを塗布し、硬化させる目的で使われます。硬化後や抜き打ち後でも剥離フィルムはスムーズにはがせるため、ディスプレイ基板やキーホルダーなどの樹脂製品、陶磁器の材料などで採用されるケースが多いです。

キャスト用途の剥離フィルムは取り扱いが簡単になるため、製品の表面形成の均一化などの効果も期待できます。

転写用途

剥離フィルムは、衣類やイラストの転写などにも使えます。剥離フィルムの上に材料を吹き付けるだけで転写できるので、簡単に使用できるのも良いところです。しかも、フリーハンドより高品質な仕上がりが期待できるため、デザインの再現性を高めるのにも有効でしょう。

プレス用途

剥離フィルムは高い耐熱性や機械的強度を有しており、凹凸のある部材とのプレスでも利用できます。具体的に、スマートフォンやハードディスク、自動車フレームやセラミックス製の精密部品などを対象としたプレス加工時に使えます。

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