本ページでは、フィルム加工に用いられる金属材料類の中から、銅、アルミ、ステンレス、亜鉛、ニッケル、チタンそれぞれの特徴や種類、製造方法、使用用途を紹介しています。
フィルム加工で用いられる材料について知りたい方、貴社で製造する製品に活用できるかを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
銅箔とは、銅を薄くたたきのばして箔状にしたものです。電解銅箔や圧延銅箔などの種類があります。
銅箔の原型となる銅。「銅」と聞くと、10円玉や調理に使う銅鍋をイメージする方も多いのではないでしょうか。このように、生活の身近なところで見られる銅は、製造業の材料としても重要な役割を果たしています。
これは、銅が加工性や耐食性が高く、熱や電気を伝えやすい特性を持っているからです。
数ある金属の中でも銅は柔らかく、形を変えやすい性質を持っています。薄く伸ばしやすいため、銅線や銅板、銅管、銅棒など、さまざまな製品に加工しやすいのが特徴です。
また、他の金属に比べて錆びにくく劣化しにくい、熱伝導率や導電性も高いことから、電子機器や熱交換器の材料としても多く使われています。
他にも、殺菌作用がある、鮮やかな色調や光沢が出せるといった特徴があります。このことから、古くから硬貨や日用品、高級品としても多用されてきました。
銅は、人が暮らしていく上で欠かせない存在とも言えるほど、さまざまなシーンで活躍している金属です。
まず、銅の製錬に使われる原料、「銅精鉱」を炉で溶解して、銅と酸化鉄、珪酸などに分離します。
次に、取り出した「マット」と呼ばれる銅を転炉で酸化させ、銅の純度を高めます。さらに精製炉へ移し、粗銅に含まれる酸素を除去して銅の純度をさらに高めます。
その後、鋳造機へ銅を流し込んで成型していきます。電気銅の場合、電解工場で通電加工して、銅品位を99.99%まで高めて完成です。
青銅、純銅(赤胴)、真鍮(黄銅)、白銅など、銅にはさまざまな種類があります。
工業用に使われるのは純銅で、他の銅に比べて高純度なのが特徴です。
飲み物のアルミ缶、アルミホイールなど、身近なところで使われるアルミも、フィルム加工で用いられる金属材料のひとつです。
金属でありながら、軽くて柔らかい性質を持っているアルミ。その重さは鉄の3分の1程度しかないことから、鉄や銅だと重くて使えない場面で用いられます。例えば飛行機のボディやスマホの素材などです。
また、通電性が高く、電線やコンデンサー、半導体などにも使われています。
熱伝導率が高いのもアルミの特徴のひとつです。熱しやすく冷めやすい特性を活かして、車のエンジンやエアコンなどの装置に活用されています。
ただし、アルミは柔らかく形が変わりやすい、他の金属に比べて低い温度で溶けやすいことから、飛行機などの工業用で用いる場合、他の金属と合わせて強度を高めてから使います。
さまざまな金属と合わせたものは、アルミ合金と総称され、さまざまな種類があります。
用途や特徴によって上手く使い分けることで、製品の強度や耐食性を高めることが可能です。
アルミは、大きく分けて3つの工程を経て製造されます。
はじめに、アルミニウムのもととなる「アルミナ分」の抽出です。アルミニウムの原料となる「ボーキサイト」という鉱石を苛性ソーダ液で溶かし、そのソーダ液からアルミナ分を取り出します。
その後、溶融氷晶石の中で電気分解を行ない、アルミニウム地金を製造します。
次に、地金を伸ばしたり押し出したりして鍛造・鋳造などの加工を行い、製品素材に成形して完成です。
成分の99%がアルミニウムでできた純アルミニウムと、アルミニウムに銅やマンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛など別の物質を加えたアルミ合金があります。
また、アルミニウムの耐食性を高めるために表面処理が施されたものは、アルマイトと呼ばれます。
ステンレスとは、耐食性や強度を高めるために、主成分である鉄にクロムやニッケルを混ぜて作る合金です。正式名称は「ステンレス鋼」で、略してステンレスと呼ばれます。
ステンレスは、発明されてからまだ100年ほどしか経っていない新しい金属ながら、食器や家電製品、自動車など、幅広い分野で用いられており身近な存在となっています。
ステンレスは英語で「Stainless Steel=サビない鉄鋼」と言われるように、サビやすい鉄に代わる金属として発明されました。そのため、非常にサビにくいのが大きな特徴です。
鉄にクロムを混ぜることで酸素とクロムが結びつき、表面に「不働態皮膜」という膜が形成されます。その薄い膜のおかげで鉄が酸素に直接触れるのを避け、サビを防ぐのです。
ただし、ステンレスは完全にサビない金属というわけではありません。メンテナンスをしなかったり他の金属が付着したりすることが原因で、そこからサビてしまう場合もあります。
ステンレスは、熱伝導率が低く耐熱性や保温性に優れた金属材料です。その性質を利用して、水筒やポットの内壁に活用されています。
ただし、その熱の逃げにくさから加工が難しいとされており、加工後は硬化が増すため、さらに加工工具に負担がかかります。
また、鉄や銅に比べて電気を通しにくいため、通電箇所には使われません。そのため、さまざまな機器の内部ではなく、ボディやフレームなどの強度が求められる箇所に多く利用されています。
原料となる鉄、クロム、ニッケルを電炉と呼ばれる大きな釜で溶かします。
その後、別の炉に移して成分を調整したら、溶けたステンレスの原料を鋳型に流し込みながら冷やして成形します。ある程度の長さでカットし、スラブと呼ばれる大きな塊を作ります。
熱い状態のスラブを伸ばす「熱感圧延」や冷めた状態で伸ばす「冷間圧延」を行ない、ステンレスの完成です。
ステンレスには大きく分けて「オーステナイト系」「フェライト系」「マルテンサイト系」の3種類があります。
それぞれ耐食性や機械的性質、焼き入れ効果、磁性に違いがあり、用途に合わせて選ばれます。
亜鉛と言えば、人や動物の体内にもある身近な金属です。体内での亜鉛は糖や脂質の代謝に重要で、不足するとさまざまな不調を起こします。
亜鉛はその化学的性質から、幅広い用途で活躍できる金属です。そのため、鉄、アルミ、銅の次に消費量が多く、さまざまな分野で応用されています。
亜鉛は、他の金属に接触させることで、その腐食を防げる効果があります。そのため、鉄からサビを守る加工に使われることが多いです。それが「鍍金(めっき)」で、鋼材に亜鉛の皮膜をつくることで鉄をサビから守ります。
亜鉛は融点が低く加工しやすい金属です。そのため、さまざまな金属材料に混ぜることでサビを防ぎながら強度を高めることができます。銅との合金は真鍮と呼ばれ、昔から広く利用されてきました。
また、医薬品やサプリメントの原料、乾電池の原料、農薬の原料など、幅広い分野でも使用用途があります。
亜鉛は、亜鉛鉱石から不純物を取り除く処理を行い、亜鉛精鉱に加工したあと、「乾式法」「湿式法」のどちらかで製造します。
乾式法は沸点の低い亜鉛の性質を利用して、酸化亜鉛中の亜鉛だけを蒸発させて取り出す方法で、蒸留法とも呼ばれます。
一方、湿式法は硫酸に溶解させて硫酸亜鉛溶液にし、その溶液から電気分解によって電極に付いた亜鉛を取り出す方法です。乾式法より湿式のほうが、制度の高い亜鉛を取り出すことができます。
亜鉛そのものは特に種類があるわけではありませんが、他の金属との加工や合金によって呼ばれ方が異なります。鍍金(めっき)や真鍮、ダイカストが代表的です。
ニッケルは、高い融点と硬さを持つ遷移金属「レアメタル」のひとつです。ニッケルを使った身近なものに50円玉があり、アメリカでは5セント硬貨に使われています。
その他、自動車やスマートフォン、医療など、生活のさまざまなシーンで活躍している金属です。
ニッケルは、他の金属に比べてサビにくい特性を持っています。特に水に強く、淡水や海水に対しても腐食しにくいのが大きな特徴です。
また、ニッケルは加工しやすく、優れた耐熱性を持っています。リサイクルすれば再利用できることから、SDGsの観点からもニーズが高く、毎年の取引額も増加傾向にある金属のひとつです。
ニッケルは光沢もありシルバーに輝くため、鋼の合金やメッキ材料として広く利用されています。
ヨーロッパでは古くから洋食器や貨幣などに使用されていた背景から、今も主要な取引はロンドン金属取引所にて行われます。
ニッケル鉱石には酸化鉱と硫化鉱の2種類あり、鉱石によって製造方法が異なります。酸化鉱は直接製錬し、還元溶錬によって鉄とニッケルの合金であるフェロニッケルがつくられます。
硫化鉱の製錬の場合、銅と同じように鉱石を選鉱し、溶錬してマットにしたあと電解精製するか、塩酸や硫酸、またはアンモニア浴に溶解し、電解採取や水素還元するのが主流です。
ニッケルには、純ニッケルのほか、他の金属と混ぜ合わせたニッケル合金があります。ニッケル合金は、ニッケル鉄合金、ニッケル銅合金、ニッケルクロム合金の3種類です。
チタンとは、1790年にイギリスで発見され、その5年後にチタン元素が見いだされた比較的新しい金属です。本格的な実用化が始まったのは1946年と歴史は浅いながらも、その実用性からさまざまな製品に利用されています。
チタンは比重4.51と、他の金属に比べて軽いのが大きな特徴です。銅の約半分、鉄の60%ほどしか重さがありません。
また、海水では白金に匹敵するほど腐食しにくく、鉄の2倍の強度を持っています。
さらに、金属アレルギーなどを起こしにくい、人にやさしい特徴から、人工骨やインプラントの人工歯根など、医療分野でも活躍しています。
これら本来の特性を活かしつつ、他金属を添加することによってさらに性質が高まることから、さまざまな合金が作られています。チタンは、先端技術の開発に不可欠な材料として非常に需要の高い物質なのです。
チタンの原料は、酸化チタンを含有するチタン鉱石です。その鉱石を塩化・蒸留して四塩化チタンにし、それをマグネシウムで還元する「クロール法」という方法で製錬されます。
純チタンの他、チタン合金があります。主なチタン合金は耐食合金、α合金、Near α合金、α-β合金、β合金です。
公差実力値±0.05mm程度(素材・形状による)
社内保有素材の場合は最短即日納品可能(目標6時間)
自社開発の生産設備を多数持ち、金型・治工具の内製化ができる体制により、開発・試作~量産と、製品開発を段階ごとにサポートできる。
今後、より求められる技術ニーズを捉えた、フィルムや金属箔などの加工実績があり、歩留まりの改善・難加工材への対応を実現。
±0.05~±0.3
場合によって即日対応するケースあり。通常、納期の目安は平均1週間程度。
ISOクラス1(1m²に0.1ミクロンのホコリが10個以下)のスーパークリーンルームを完備、医療品分野などでマストとされる要件を満たした加工環境を持つ。
PDMS(ポリジメチルシロキサン)成形や高精度の貼り合わせ加工、アッセンブリ、パッケージングまでワンストップで対応でき、短納期を実現。
打ち抜き規格±0.1mm(実力値では±0.05)対応可能
保有設備で対応可能な場合、最短当日出荷
打ち抜き加工のみならず、貼り付け・貼り合わせ・スリット・ラミネート・脱泡など幅広い加工に対応でき、取り扱い材料も多岐にわたる。
開発・試作段階から相談可能で量産試作~量産と製品開発を段階ごとにサポートでき、依頼企業の構内での製造・生産管理・設備のメンテなども受託可能。
【選定条件】
「フィルム加工メーカー」で検索し、公式サイト内で「プレス加工」「打ち抜き加工」に対応していることを明記している54社から、最短当日出荷が可能で、加工精度を明記し、さらに高機能フィルムにも対応する3社を選定。
(2022年2月9日時点)