高速伝送のための「低誘電性」とは?【フィルム・PCB】

将来的には、5Gであっても処理が追い付かなくなるおそれがあると見込まれているデータ量の増加。そのため、さらなる高速伝送への需要が高まっています。その需要に応えるため、低誘電性のフィルムの開発が進んでいます。

高速伝送に関する需要の高まり

高速通信ネットワークがさらなる広がりをみせている現在において、テキストや画像はもちろんのこと、音声や動画などを含む多種多様なコンテンツを、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどでやり取りすることが、ごく一般的に行われています。

しかも、かつての3Gから4G、そしてこれから5Gといった具合に、無線通信網が急速に進化しており、また、光ファイバー回線網の整備も行われているため、新たなIT機器が開発されてその機器を活用するサービスが登場するといったパターンが形成されつつあります。その結果、ネットワークを流れるデータ量はものすごい勢いで増加しているのです。

需要の高まりは今後も続く見込み

また、それほど遠くない未来に普及が進むと考えられている遠隔医療では、手術ロボットを操作することになります。また、自動車の自動運転においても、走行中のデータを管理センターへ送って遠隔操作を行う方法が採用されるでしょう。いずれの場合も、膨大なデータをリアルタイムで処理する必要があるわけです。

こういった大容量通信に対応していくために重要になってくるのが、通信そのものの高速化、多接続化、そして低遅延化などです。

高速伝送に関わるフレキシブル基板(PCB)とは

私たちにとってごく身近なデジタル機器ほとんどにとって、もはや欠かせないパーツとなっているのが、フレキシブル基板です。

フレキシブル基板(PCB)は、スマホやタブレット、ノートパソコン、プリンター、デジカメなどのほか、ウェアラブルデバイス、医療機器、そして自動車に搭載されている電子回路にも活用されています。ポリイミドなどのような薄いプラスチックフィルム上に回路が形成されているのが特徴です。そのため、薄いだけでなく、軽量化も実現していますし、また、折り曲げられるという特徴も有しています。

高速伝送のためフレキシブル基盤に求められる機能

高速伝送に対応可能な回路基板を製造するのに使用する絶縁材料を選ぶ際に、重視すべきスペックとして挙げられるのが、「誘電率」と「誘電正接」という項目です。

誘電率とは

誘電率とは、電気の通しにくさを示す数値のことです。より正確に説明するとすれば、物質に電場を与えた際に、物質が電気的に分極する度合いを示す物性値、となります。たとえば、金属と比較すると、ガラスやプラスチックは電気を通しにくい物質として知られています。そのため、誘電率は金属よりも高いと言えるわけです。

誘電率を表す数値として、比誘電率という値がよく用いられます。これは、真空の誘電率を1とした場合に、物質の誘電率がどれくらいであるのか、その相対値を示す値です。たとえば、空気の比誘電率がおよそ1、であるのに対し、ゴムは2、水は80、などのように示すことができます。ちなみに、比誘電率の値が低ければその分、信号が伝わるスピードが上がります。

誘電正接とは

誘電体内における電気エネルギーの損失度合いを表す値を、誘電正接といいます。値が小さくなるほど電気を通しやすいということになるため、損失度合いも低くなります。

FPCなどに用いられるパーツ素材では、誘電正接が大きくなった分だけ電気エネルギーが吸収されるため、信号伝送の効率が下がり、周波数が高くなればなるほどそれが顕著になります。

参照元:Dexerials|回路基板の絶縁材料に求められる低誘電特性(https://techtimes.dexerials.jp/bonding/properties-required-for-fpc-and-low-k-bonding-sheet/)

高速伝送のために開発されているフィルムについて

東レ株式会社が、PPS(ポリフェニレンサルファイド)ポリマーが有する特性をしっかりと維持しつつも、高耐久・難燃性フィルムとして誘電率1.9のフィルムを開発しました。その高機能PPSフィルムを使うことで、これまでよりも3割増しのスピードでデータを伝送できるようになったのです。

取り扱われるデータ量が増加の一途をたどる現在において、伝送に使用するケーブルやアンテナ、そして電子回路の基材となるフィルムなどの低誘電率化が求められています。そのニーズに応えるため、電気特性の温度や周波数に対する変化が極めて少ないPPSフィルムを活用して誘電率を低減させ、高速伝送用途に対応できるようにすることを目指しています。

参照元:東レ株式会社|データの高速伝送を可能にする低誘電率PPSフィルムの開発について(https://www.toray.co.jp/news/details/20161220001240.html)

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加工精度

公差実力値±0.05mm程度(素材・形状による) 参照元:オーティス公式HP(https://otis-group.com/blog/290/

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引用元:シーエステック株式会社公式サイト
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  • 家電
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加工精度

±0.05~±0.3

試作納期

場合によって即日対応するケースあり。通常、納期の目安は平均1週間程度

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