フィルムヒーターとは?仕組みや用途を解説

このページでは、さまざまな加工技術が用いられている「フィルムヒーター」について、仕組みや用途を解説しています。

フィルムヒーターとは

フィルムヒーターとは、プラスチックフィルムを基に加工されたフィルム状の電気ヒーター(面状発熱体)です。ヒーター線、またはヒーター層を基材のフィルムで挟み絶縁した構造になっており、導電部は電熱線タイプと面発熱タイプに分かれます。

フィルム状なので薄く、体積も小さいことから、電源を入れてからの熱応答性が高いのが特徴。柔軟性にも優れており、自動車のタンクやパイプの凍結防止や結露防止、ガラスの着雪・着氷の除去など、身近なところで用いられています。

フィルムヒーターの仕組みについて

フィルムヒーターは、フィルム基材上につくられた導電部に電気を送ることで発生する電気抵抗の熱を、ヒーターとして利用する仕組みになっています。

フィルムヒーターの導電部には、大きく電熱線タイプと面発熱タイプに分かれます。

電熱線タイプは、アルミや銅、ステンレスなどの金属箔や導電性ペースト、銅線、ニクロム線などをフィルム基材上に配置したものです。一本線が一般的ですが、複数の線を並べて並列に繋ぐ「並列ヒーター線」という種類もあります。

面発熱タイプは、フィルム基材上にヒーター層となる薄膜を形成したもの。電極をヒーター層の両端に水平に配置することで、電極間の面全体が発熱する仕組みです。

フィルムヒーターの種類について

電熱線ヒーター

ニクロム線や銅線など、金属の電熱線を樹脂フィルムで両側から挟んでつくられるヒーターです。中には、樹脂フィルムに貼り合わせた金属箔をパターニングしているものもあります。他のフィルムヒーターと比べて温度が高くなるのは速いですが、ヒーターの線幅が太くなるため、配線が目視で見えやすくなります。

ITO透明導電膜フィルムヒーター

ジオマテック株式会社が開発した「ITO」という薄膜による、透明導電膜を発熱源としたフィルムヒーターです。ITO特有の黒味を帯びていますが、全光線透過率は90%以上と高く、視認性に優れています。

ITO膜は抵抗が高い材料のため、昇温はあまり速くありません。また、折り曲げや成形によってクラックが入り割れてしまうため、用途は緩やかな曲面の形状に限定されます。

カーボンナノチューブフィルムヒーター

金属に近い導電性を持つカーボンナノチューブを分散したコーティング剤の塗布膜を発熱源としたフィルムフィルターです。透明性がなく視認性は良くありませんが、薄くて軽く柔軟性や耐久性もあり、昇温速度も速い特性があります。

メタルメッシュフィルムヒーター

銅や銀、アルミニウム、クロムなどの金属を用いて、視認できないほどの線幅(数μm程度)のメッシュパターンを樹脂フィルム基材に形成して作られるフィルムヒーターです。抵抗が低く、昇温速度も速い特徴があります。

メッシュパターンによって高い透明性や柔軟性、成形性を持たせることができます。

フィルムヒーターの用途は?

自動車

電熱線フィルムヒーターは、車のリアガラスやサイドミラーに多く用いられています。寒さや温度差によってガラスが曇ったり結露したりすると、視界が悪くなり交通事故の原因になりかねません。このような場所に貼ることによって曇りや結露を防止し、事故防止に役立てられています。

カメラ・電子機器

監視カメラのレンズ部分やLEDライト、ガラス窓などの結露や曇りを防ぐために使われているのは、ITO透明導電膜フィルムヒーターです。発熱によって結露による曇りを防止します。ITO透明導電膜には発熱性のないものもあり、スマホやタブレットなどのディスプレイやタッチパネルなどに採用されています。

衣類

フィルムヒーターは熱伝導性の高さから、衣類にも使用されています。中でも軽くて薄く、折り曲げにも強いカーボンナノチューブフィルムヒーターは、ヒーターベストやヒーターソックスなどの寒冷地用の衣類にも活用されています。

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