PFAS問題におけるフィルム加工と対策

プラスチック素材に含まれるフッ素化合物のPFASですが、フィルムにもこの物質は含まれます。現在のPFASを取り巻く状況と、注目されるPFASフリーのフィルムについて解説しています。

フッ素化合物に含まれるPFASの問題とは

PFAS(ピーファス)は、健康や環境に悪影響を与えると指摘されている化合物です。

2023年には、WHO(世界保健機関)のがん研究機関が一部のPFAS物質について発がん性の評価を引き上げるという発表を行いました。PFASは1万種類以上が存在するとされ、その中でも「PFOA(ピーフォア)」と「PFOS(ピーフォス)」が有害性の指摘を受けています。

国内での動きについて

日本では、これら2つの物質について、化審法に基づき製造や輸入が禁止されています。この動きは、国際的な規制の流れを受けたもので、特にPFOAに関してはWHOのがん研究機関IARCが「発がん性がある」と評価し、PFOSについても「発がん性がある可能性がある」と位置づけているのです。この「発がん性がある」という分類は、アスベストや六価クロム化合物、喫煙など、健康リスクをもたらす物質と同じレベルで評価されることを意味します。

環境省ではこれまでのところ、日本国内でPFOAやPFOSの摂取による健康被害の具体的な事例は確認されていないと説明しています。しかし、PFASに関してはまだ研究されている途上であるため、研究結果によっては目標値の見直しが行われることもあるでしょう。

今後の研究や規制動向は、これらの物質が含まれる製品や、それらを利用する産業への影響を大きく左右する可能性があります。

参照元:環境省|有機フッ素化合物(PFAS)について(https://www.env.go.jp/water/pfas.html)

PFASフリーのフィルム事例

東レのモールド離型フィルム

PFASフリーのフィルムの事例として、挙げられるのが「離型フィルム」です。主に製品金型などに、剥離性をもたせるために使用されるフィルムです。

有名な事例として、東レ株式会社が開発したPFASフリーのモールド離型フィルムが挙げられます。このフィルムの特徴は、各国で規制が検討されている有機フッ素化合物を一切含まない材料で製造されていること。モールド工程で頻繁に発生していた金型汚れの問題を従来の1/5以下に抑えられるとされています。半導体製造においても、稼働率の向上に大きく貢献できるでしょう。

半導体は現代社会の基盤を支える重要な電子部品であり、自動車やスマートフォン、PCなど幅広い分野で使用されていることから、こうしたフィルムによる需要は今後も高まることが予想されます。

参照元:TORAY|ニュースルーム(https://www.toray.co.jp/news/article.html?contentId=0raa9xt0)

ハリマ化成の半導体モールド用離型フィルム

ハリマ化成の開発した離型フィルムは、フィルムにノンフッ素の離型層をコーティングしている点が特徴。

伸びや耐熱性に優れた汎用フィルムに、ハリマ化成が開発した専用の離型剤をコーティングすることで離型層を形成。フィルムに離型性をもたせ、さまざまな用途に用いられるようなフィルムの開発を目指しています。

参照元:ハリマ化成|半導体モールド用離型フィルムの開発[PDF](https://www.harima.co.jp/randd/technology_report/pdf/techrepo2410_1.pdf)

近年取り沙汰されるPFASの問題とフィルム開発の現状についてお伝えいたしました。以下ページでは他にもフィルム加工に関連する技術やフィルム加工メーカーの情報を解説しているため、参考にしてみてください。

プレス加工に対応できる
フィルム加工メーカーリストはこちら

フィルム・テープの技術や基礎知識まとめ

最短当⽇出荷・
⾼機能フィルム加⼯可能な
プレス加⼯メーカー3選

難加工対応の実績で選ぶなら

オーティス

オーティス株式会社公式サイト
引用元:オーティス株式会社公式サイト
https://otis-group.com/
対応業界
  • 情報機器
  • エネルギー
  • 自動車
  • 医療
  • 半導体
  • 家電
  • 建材
加工精度

公差実力値±0.05mm程度(素材・形状による) 参照元:オーティス公式HP(https://otis-group.com/blog/290/

試作納期

社内保有素材の場合は最短即日納品可能(目標6時間)

特徴1

自社開発の生産設備を多数持ち、金型・治工具の内製化ができる体制により、開発・試作~量産と、製品開発を段階ごとにサポートできる。

特徴2

今後、より求められる技術ニーズを捉えた、フィルムや金属箔などの加工実績があり、歩留まりの改善・難加工材への対応を実現

オーティスの
特徴を詳しく紹介

オーティスに
フィルム加工を相談する

電話で問い合わせる

高クリーンレベルで選ぶなら

シーエステック

シーエステック株式会社公式サイト
引用元:シーエステック株式会社公式サイト
https://www.cstec-jp.com/
対応業界
  • 情報機器
  • エネルギー
  • 自動車
  • 医療
  • 半導体
  • 家電
  • 建材
加工精度

±0.05~±0.3

試作納期

場合によって即日対応するケースあり。通常、納期の目安は平均1週間程度

特徴1

ISOクラス1(1m²に0.1ミクロンのホコリが10個以下)のスーパークリーンルームを完備、医療品分野などでマストとされる要件を満たした加工環境を持つ。

特徴2

PDMS(ポリジメチルシロキサン)成形や高精度の貼り合わせ加工、アッセンブリ、パッケージングまでワンストップで対応でき、短納期を実現。

シーエステックの
特徴を詳しく紹介

シーエステックに
フィルム加工を相談する

電話で問い合わせる

多彩な加工提案で選ぶなら

JOHNAN

JOHNAN株式会社公式サイト
引用元:JOHNAN株式会社公式サイト
https://www.johnan.com/
対応業界
  • 情報機器
  • エネルギー
  • 自動車
  • 医療
  • 半導体
  • 家電
  • 建材
加工精度

打ち抜き規格±0.1mm(実力値では±0.05)対応可能

試作納期

保有設備で対応可能な場合、最短当日出荷

特徴1

打ち抜き加工のみならず、貼り付け・貼り合わせ・スリット・ラミネート・脱泡など幅広い加工に対応でき、取り扱い材料も多岐にわたる。

特徴2

開発・試作段階から相談可能で量産試作~量産と製品開発を段階ごとにサポートでき、依頼企業の構内での製造・生産管理・設備のメンテなども受託可能。

JOHNANの
特徴を詳しく紹介

JOHNANに
フィルム加工を相談する

電話で問い合わせる

【選定条件】
「フィルム加工メーカー」で検索し、公式サイト内で「プレス加工」「打ち抜き加工」に対応していることを明記している54社から、最短当日出荷が可能で、加工精度を明記し、さらに高機能フィルムにも対応する3社を選定。
(2022年2月9日時点)

【必見】事例紹介あり! 高機能フィルムの加工 必要な設備や技術とは?