テープ・フィルムに施される加工の一つにラミネート加工があります。「ラミネート」という言葉は日常生活で耳にする機会もあるかと思いますが、ラミネート加工とはどのような加工なのか、特徴等をご紹介します。
ラミネート加工の種類 | 特徴 | 使用例 |
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コールドラミネート | 自重にて圧着。大きな写真・ポスターに用いられる。 | 写真・ポスター |
ホットラミネート | 熱で表裏から圧着。裏面の保護も可能。 | 文書・証明書 |
グロスラミネート | 光沢のある仕上がり。高級感を演出。 | 高級雑誌・カタログ |
マットラミネート | 光の反射を防ぐ。落ち着いた雰囲気。 | 屋外看板・メニュー |
UVラミネートフィルム | UVカット機能付き。屋外使用に適している。 | 屋外広告・看板 |
ホログラムフィルム | 光の角度でキラキラ光る効果。偽造防止にも。 | パッケージ・防犯 |
PPフィルム | ポリプロピレン製。印刷後の加工に。 | 書籍・教科書 |
PVCフィルム | 耐薬品性、電気絶縁性に優れる。 | 電気絶縁部品 |
PETフィルム | 硬さと寸法安定性が特徴。 | 化粧品パッケージ |
低密度ポリエチレンフィルム | 透明感あり、伸びやすい。包装に多用。 | 食品包装・工業製品 |
ラミネート加工とは、テープやフィルムを張り合わせる加工を指します。
そもそも、「ラミネート」という言葉が「張り合わる」を意味しています、いわゆる積層を指す言葉です。しばしば「ラミネート」という言葉を日常生活で耳にするのは、カード等を「ラミネートする」時です。いわゆる「ラミカ」と略されるものですが、これはカードとフィルムを張り合わせることでカードを保護する役割があります。
ラミネート加工も同様で、フィルムやテープを張り合わせることで、表面を保護する役割があります。そして、どのような形で保護するかはラミネート加工によって異なります。ただし、あくまでも表面のみで裏面は保護されません。
パウチ加工はラミネート加工と同じ加工と似ていることから、同一視されてしまうこともありますが、厳密には別物です。
例えばレトルト食品等は「レトルトパウチ」との言葉があるように、決して印刷業界だけの手法ではありません。
パウチとは「ポーチ」と同じ言葉で、包み込む・小袋といった意味合いの言葉で、印刷業界におけるパウチ加工とは印刷物の両面、さらには上下左右を含んだ全体を包み込む加工を行ったものを指します。
ラミネート加工は包むのではなく、貼り合わせるものです。この点がラミネート加工とパウチ加工の違いで、保護性能という点ではラミネート加工よりもパウチ加工が優れていますが、包み込む加工法なのでどうしても余白ができてしまいます。
PP加工もまた、ラミネート加工と同一視されることのある加工法ですが、実際PP加工ではポリプロピレンをラミネートさせる加工法となりますので、PP加工はラミネート加工の一種だと考えることができます。ただし、素材が異なることから、異なる用途で用いられている加工法です。
身近なところでは、雑誌や教科書、少々豪華な書籍にて用いられています。紙でありながら、表面に艶があるように見えるものがPP加工です。ただし、艶の無いマットPPもあります。
耐久性、さらには耐湿制が向上することから、施すことで書籍を長持ちさせることができます。
ラミネートフィルムは「基材フィルム」と「粘接着層」の二層で構成されているのが一般的です。ラミネートフィルムの厚さは、この基材フィルムと粘接着層によって決まります。ラミネート加工には、接着剤を溶かして素材を貼り付けるタイプや、粘着で簡単に貼れるタイプのものなどがあります。
基材フィルムの構成は、ベース基材・サンド基材(中間層)・シーラント基材の3種類です。
ベース基材は、ラミネートフィルムの表基材として使用されます。包装用フィルムであれば一番外側に位置しているものです。ベース素材には、引っ張りや曲げに強い機械的強度と、水蒸気や酸素、光を遮断するバリア性が求められます。そのほかに、耐熱性や印刷適性なども必要です。ベース基材に使用される素材は、PET(ポリエステル)、OPP(ポリプロピレン)、PA(ポリアミド)が多用されています。それ以外にも、セロハンや紙も使用されます。
サンド基材(中間層)は、ベース基材の中間に位置します。バリア性に優れた素材を使用されることが多く、ベース基材とシーラント基材だけでは強度が不十分なときに、補助的な役割で使用されます。サンド基材には、酸素・水分・光を遮断する目的があります。
シーラント基材は、内装として使用されるものです。袋包装の内面となるため、直接製品の中身と触れても影響のない素材を使用します。シーラント基材に使用される素材は、PE(ポリエチレン)やCPP(ポリプロピレン)です。
ベース基材・サンド基材・シーラント基材を張り合わせることで、新しい機能を備えるフィルムが製造できます。
ラミネート加工には、傷や水滴・紫外線などによるダメージを軽減する役目があります。耐水性の塩ビシートで加工すれば、雨水をはじいて印刷物を保護してくれます。UVカットに特化したラミネートを選べば、紫外線によるダメージから印刷物を守り、変色を軽減することが可能です。
ラミネート加工の耐用年数は、長いものだと5年以上といわれています※1。長期間において、印刷物あらゆるダメージから守ることができます。
お店などで、ラミネート加工されたポップを目にしたことがある人も多いでしょう。ラミネート加工は、生活のさまざまなシーンで使用されています。
※1参照元:株式会社アイカム_長持ちの秘訣!ラミネート加工とは?
ラミネートフィルムの一般的な厚さは、100ミクロン(0.1mm)です。フィルムが厚くなると硬く丈夫になります。
100ミクロンのラミネートフィルムは、会員証や診察券など、幅広いシーンで使われています。150ミクロンになると強度が増すため、POPや店舗メニューの作成におすすめです。200ミクロン以上になると、業務用向けになります。店頭の案内板や看板などに広く用いられています。
ラミネートフィルムは、使用用途によって適度な厚みを選ぶことが大切です。
情報参照元:株式会社 ジャストコーポレーション_ラミネートフィルムについて
先述の通り、用途や加工の対象物に合わせて、ラミネートフィルムの厚さは決まります。屋外で使用するのか、屋内で使用するのかによっても、耐久性の面でフィルムを選ばなければなりません。
ラミネート加工の仕上がりには、ツヤ感があるタイプとマットなタイプがあります。仕上がりのイメージや使用する場所に合わせて、仕上がりのタイプを選びましょう。
一般的なのは、ツヤがあるグロスタイプです。ただし、屋外で使用する場合には太陽の光を反射して見にくいため、マットタイプが適しています。
高級感を出したいときにも、マットタイプが選ばれる傾向があります。
どこで使用するのか、環境に合わせてラミネートフィルムを選ぶという方法もあります。
ラミネートフィルムにはさまざまな機能があり、UVカット機能の付いたものや、耐水性に優れたもの、エンボス加工を施したマットタイプのものなども登場しています。
屋外で使用する場合は、UVカット機能が付いたものを使用します。UVカット機能によって、印刷物を紫外線のダメージから守ります。
建物の床面にラミネートフィルムを圧着する場合は、エンボス加工を施したマットタイプのものを選びましょう。ツヤ感のあるものを圧着すると、床が滑ってしまい危険です。
新しい機能を持つラミネートフィルムが次々と登場しています。ラミネーターを使わなくても加工できる特殊フィルムや、静電フィルムなど、気軽に圧着できる機能があるので、機能面から選ぶのも一つです。
ラミネート加工を施す際は、インクジェットメディアの材質に合わせるのが一般的です。異なる素材を使うと収縮率にも違いが出るため、品質の安定を確保できないためです。インクジェットメディアが塩ビ基材であれば、ラミネートフィルムも同じものを使います。
必ずしも材質を合わせなければいけないわけではありませんが、揃えて使用するのが通例となっています。
ラミネート機の自重にて圧着して加工するラミネートです。片面がシール状となっている点、自重にて加工する点から比較的大きな写真・ポスター等に用いられることが多いです。
ラミネートは片面のみに行う加工法なので耐水性が低いと思われがちですが、コールドラミネートはポリプロピレンやPET、PVCといった耐水性のある樹脂素材に用いることが多いことから、コールドラミネートを行うことで防水性をより高める効果が期待できます。
ラミネートフィルムを文字通り「熱」によって表裏両方から挟みこんで圧着させる加工法です。
ラミネート加工はあくまでも片面のみの効果を期待したものですが、ホットラミネートに関しては内側が溶ける糊となっていることから、熱を加えることで内側が溶け出し、糊となって両面を挟み込む形となり、裏側の保護機能も期待できます。ただし、数ミリ程度、「ミミ」が必要になりますので、素材が多少ムダになってしまいます。
グロスのような、光を反射しやすいものです。表面がツルツルなので光沢を帯びているかのような、明るい雰囲気に仕上がります。いわゆる「艶あり」のような、光沢感のある雰囲気が特徴なので、ラミネートすることで対象物に高級感や上質感をもたらします。
いわゆる「ツヤ無し」のラミネートです。光の反射を防ぐフィルムにてラミネートすることから、ツヤのない落ち着いた雰囲気をとなります。上質感や落ち着きをもたらすことになり、一見ラミネートしているか分からない自然な雰囲気となりますが、光の反射を楽しみたい場合にはマットラミネートよりグロスラミネートが向いています。
紫外線対策が施してあるラミネートフィルムのことを「UVあり」「UV付き」「UV機能付き」「UVカット付き」ラミネートフィルムと呼びます。屋内で短時間の使用ならUVなしのラミネートフィルムでも十分ですが、屋内でも長時間使用する場合はUV付きのラミネートフィルムがおすすめです。
とは言え、実情では屋内でもUV付きラミネートフィルムが使用されることが大半です。これは、UV付きラミネートフィルムの汎用性に関係しているかもしれません。ラミネータの保有は1台の場合が多く、UVあり・なしを使い分けてその都度取り替えるのは面倒です。金額差が少ないこともあり、汎用性の高いUV付きラミネートフィルムで対応する方が効率的と言えます。
ホログラムは光の角度によってキラキラ光る特殊効果のある素材です。PET、OPPなどの素材に対し光の干渉が際立つようにシボを付け、そのシボ面にアルミ蒸着加工を施すことで作成。ホログラムの様子がはっきりわかるキラキラ模様になります。包装用フィルムのほか、偽造防止などの目的でも使用されます。
PPフィルムとは、ポリプロピレンを原料とするフィルムを貼る加工のことです。印刷を行った上に施す加工のため、強い摩擦による色落ちの心配もありません。光沢がありツルツルな手触りのものが標準ですが、マットタイプのものあります。
PVC(ポリ塩化ビニル)フィルムは、高い加工性と機能性を合わせ持つ汎用樹脂のことを指します。電気絶縁性に優れているため電気を通しにくく、難燃性を付与させ燃えにくいフィルムにすることが可能です。
耐薬品性にも優れていて、特に酸類・アルカリ類には強いです。しかし、有機溶剤には弱いので注意しましょう。高い加工性も有しているため、真空成形や抜き加工、接着、印刷など幅広い加工方法に適しているという特徴もあります。
PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムは硬さがあり、PPよりも膨張や膨潤が少なく寸法安定性に優れているのが特徴です。透明度は高いものから低いものまでさまざまあり、高透明のものなら艶感や高級感を求められるようなパッケージに向いています。後加工適性に対する安定性にも優れていて、化粧品関係のパッケージや窓貼り加工などに多く採用されています。
ラミネートした後、さらにトランスタバック加工が可能である点も特徴のひとつ。そのため、PETフィルムをラミネートした後トランスタバックのホログラム加工をすることで耐久性が上がり、ホログラムの意匠性においてもホログラムフィルムをラミネートするのと同じくらいの効果を得ることができます。
二軸延伸フィルムは製膜を行う際、フィルムを縦・横に引っ張って製造しているフィルムのことです。縦・横に引っ張ることによって、フィルムが完全に伸び切っている状態になっているため、突き刺しに対する強度が非常に強いという特徴を持っています。
またOPP・ONYの2種類に分けられ、OPPは突き刺し強度に優れたタイプです。そのためボールペンの取り換え用の芯など先端が尖っているものを入れる場合に向いています。さらに高透明度というメリットもあり、雑貨やお菓子など見栄えを考える商品にも適しています。
一方ONYは、それだけで用いられるケースはほとんどなく、アルミ箔・ポリエチレンなどと一緒に組み合わせて使用されることが多いフィルムです。フィルム自体の強度を高めたいケースに活用されます。
アルミ蒸着フィルムは、アルミニウムを非常に高い真空状態で抵抗加熱・高周波加熱などを用いて加熱蒸発させ、その上記をフィルムの表面に付け、フィルムにアルミの膜を付着させているフィルムのことです。アルミ蒸着フィルムは優れた防湿性やガスのバリア性、保香性があると言われており、赤外線・紫外線の遮断効果も期待できます。
アルミ蒸着CPPのことを「VM-CP」、アルミ蒸着PETのことを「VM-PET」と呼び、VM-CPは引き裂きの強さがあり、VM-PETは高いバリア性を誇るという特徴があるでしょう。
アルミ箔とは異なり、アルミの使用量も非常に少なく、アルミ箔の100分の1~200分の1程度です。さらにアルミ箔よりも柔軟性が高いというメリットもあります。
低密度ポリエチレンフィルムとは透明感のあるツルツルした材質で、伸びやすく、しなやかな性質を持っています。製造方法の違いによってLDPEやLLDPEの種類があり、見た目だけで違いを判別するのは非常に困難です。特徴もほぼ変わらないので、「PE」とまとめて表記されることも。
低密度ポリエチレンフィルムは押し出し成形がしやすく、軟化温度80~90度、融点110~120度と低温という特徴があります。さらに耐衝撃性やヒートシール性、防湿性に優れているという魅力もあり、薄手から厚手まで幅広い製造ができるなどのメリットもあるので、非常に取り扱いしやすいでしょう。ラミネートフィルムのシーラント層として使用されることもあります。工業製品などの包装をはじめ、ホコリ防止や水濡れ防止、傷防止などに活用されているフィルムです。
High Density Polyethyleneのことで、「HDPE」と表記されることもある半透明フィルムです。シャカシャカとした質感が特徴で、一般的にはレジ袋で用いられるケースが多く、ラミネートにはあまり用いられません。
ポリエチレンの中でも低密度ポリエチレンと比較されることが多いですが、高密度ポリエチレンは軟化温度120度、融点150度と高温にも耐えられる特性を持ち、引っ張りやフィルムのコシの強さも備わっており、薄手であっても高い強度を誇ります。低密度ポリエチレンと比べると、防湿性やバリヤー性も2倍ほど高い性質を持っています。耐熱性だけでなく耐寒性も優れており、どんなエリアでも使いやすい特徴も。ただ半透明なので、透明性を求められるラミネートには不向きです。
フッ素樹脂フィルムとはフッ素の特性を生かしながら、どんな環境下であっても優れた性能を有すフィルムです。非粘着性や耐薬品性、耐候性、防汚性、耐熱性、誘電特性、難燃性、光透過性などの特性を持っています。様々な特性を有しているため、電子部品・半導体・自動車部品・機械部品など多種多様な分野で活用されています。
ラミネート加工の長所としてあげられるのが印刷物の強度を高める点です。保護層を付与することになりますので、防水性を含めた強度そのものを向上させます。紙では折れてしまうような状況でも、ラミネート加工した紙であれば折れずにそのままの状態を保つことができます。
また、加工法によっては高級感や上質感を付与するなど、個性・特徴を付与させることもできます。
一方、デメリットとしてはインクが乾燥していない場合、シワや気泡ができてしまう点、さらには元に戻せない点です。仮に失敗してしまった場合、対象物にも何らかのダメージを与えてしまいかねません。そのため、ラミネート加工には失敗が許されません。
サーマル加工とは、熱と圧によって印刷物にラミネートフィルムを貼り合わせる方法です。フィルムには接着剤があらかじめ塗布されています。
接着剤加工は、サーマル加工に対応していないフィルムでも貼ることができます。ラミネートフィルムに糊を塗布し、印刷物に貼り合わせる方法です。
押出ラミネートとは、溶けたPE樹脂でフィルムを貼り合わせる加工技術のことです。PEの貼り合わせ方法によってポリラミとポリサンドラミに分かれます。PE樹脂で接着層を作って貼り合わせるため接着用の薬剤を使う必要がなく、薬剤が素材に残りません。
押出ラミネートは紙や厚みのあるフィルムなど幅広い張り合わせが可能で、生産原価が安く生産速度が速いという特徴があります。そのため、大量の生産を安価で行いたいという方のニーズに応えられるでしょう。
いくつかの押出口(ダイ)から異なる樹脂を押し出して貼り合わせる方法のことを共押出ラミネート加工と呼びます。比較的小ロットに対応しやすいですが、基材が限定されることやフィルムの接着が弱いことなどがデメリットです。
ドライラミネートとは、フィルムにポリウレタンやイソシアネートなどの接着剤を紙に塗布して乾燥させた後に、別のフィルムを重ねて圧着させる方法のことです。高い耐熱性や耐薬品性があり、接着強度は強く基材の選択肢が広いというメリットがあります。
デメリットは、押出ラミネート加工と比較して生産原価が高く生産速度に劣ることなどが挙げられます。
ウェットラミネートは、水溶性・エマルジョン接着剤を使ってフィルムを貼り合わせる方法のこと。一方の基材は通気性がある紙などの素材に限定され、防水性のあるプラスチックフィルム同士を積層させことは難しいです。
ホットメルトラミネートは、接着剤を温めてドロドロにした状態にしてフィルムに塗布し貼り合わせる技術です。基材はやや限定傾向がありますが、乾燥機が不要なため比較的設備は省スペースです。接着には専用のホットメルト剤を使用します。
スナック菓子やカレーといったレトルト食品ではラミネート加工のものが多いです。厳密には食品包装材に多くラミネート加工の製品が用いられています。
カレーやハンバークのレトルト食品、生めん、職番、インスタント袋めんなど、実は食品業界には多くのラミネート加工品があります。そのため、「ラミネート加工」という言葉を知らないとしても、実は我々の身近なところにラミネート加工があるのです。
押出ラミネートとドライラミネートは、どちらも食品包装に使用されます。
スナック菓子などには、大量生産できて低コストな押出ラミネートを使用されることが多いです。押出ラミネートの場合、一般的には二軸延伸ポリプロピレンとポリエチレンが考えられます。透明性・印刷性に優れており、外装材に適した素材です。ガスバリア性が重視されるお茶やインスタントコーヒーの包装には、ポリエチレンを服装化したり、アルミニウムが使われたりします。
ドライラミネートは、着生に優れています。水物に適しているため、こんにゃくや液体の食品に採用されます。ドライラミネートには、二軸延伸ポリプロピレンと無延伸ポリプロピレンが考えられます。無延伸ポリプロピレンは、引っ張られる力に強く、破れにくいためです。
このように、押出ラミネートとドライラミネートは、使用目的に合わせて選ばれます。
雑誌や書籍、コミックといった出版印刷からポストカードやカタログといった商業・事務用の印刷、さらにはパッケージやスリーブなどの包装、そしてシールやステッカーといった特殊印刷など、印刷にもラミネート加工が多数施されています。
紙単体ではどうしても強度面に不安が残りますが、ラミネート加工することで紙の弱点である強度をカバーできるだけではなく、紙に上質感や高級感といった個性を付与することもできるのです。
革製品にもラミネート加工が用いられています。革の表面にフィルムを接着させることで革製品の弱点でもある防水性を高めたり、あるいは光沢感を演出することができます。
場合によっては、革は地味な印象を与えてしまいがちですがラミネート加工を施すことで、それまでの革にはない個性を付与することができます。
一口に「テープ」と言っても片面のものや両面のもの、基材なしのものもあれば、粘着剤として使用されているものもアクリルからシリコン、ゴム、あるいは複数が使用されているものなど多種多様です。その中でも自然環境に良い点が特徴のクラフトテープには、ラミネート加工されているものがあります。
クラフトテープにラミネート加工することで、ラミネートをテープとして機能させることになります。クラフト紙は接着剤につきやすい性質があります。そのままテープに巻くと粘着剤とクラフト紙が接着する傾向にあり、使用に耐えられません。この問題の解決のために背面処理にてラミネート加工を行うことで、テープは多少ではありますが厚みを増しコシが出るので使いやすくなります。
皮膚に張り付ける医療用テープもあれば、皮膚には貼り付けないタイプまで多々ラインナップされています。
アクリル系やシリコン系の粘着剤やPET、不織布の基材から用途に合わせて選択可能で、医療機器やドレープ・センサーと皮膚を固定するためのものやドレープ同士、各種衛生材料素材同士を固定させるものなど用途も多々あります。
「医療」の範囲も幅広いものとなっていることから、使用されるテープの目的も多種多様となっています。
スマートフォンは表面だけを見るとテープは見られませんが、スマートフォンの中に防水用のテープが使用されているものがあります。防水機能を示す防水等級(IPX)は0から8までの9段階用意されており、スペックによって異なるものの多くのスマートフォンに防水テープが使用されています。
入浴シーンでの利用を想定したものではなく、あくまでも生活の中での防水のためのもので、雨天時等でもスマートフォンを守るための機能です。
静電気対策として、テープに導電性を付与したテープもあります。素材にアルミや銅箔を使用したもの、銅箔基材に特殊加工を施したものや、半導電性のあるものなどが用意されています。静電気の除去だけではなく、帯電防止や電磁波シールド、放熱補助など多くの役割を担っています。
先述したものだけではなく、導電性カーボンテープ、透明導電性テープや、導電性テープをはんだ付けして利用するものなど、こちらも多種多様なタイプがラインナップされています。
●セキュリティテープ製品事例|剥離前・剥離後(橋本コーポレーション株式会社)
テープを剥がした際、被着体に「開封済み」「VOID」マークが浮かび上がり、糊が残ることでラベルを剥がしたことが把握できるタイプやラベルを剥がした際、糊を残すのではなく、基材にマークが表れるタイプがあります。後者の場合、被着体に糊が残らないことから再利用も可能です。
また、剥がすことでシールが破けることで跡が残るぜい質タイプもあります。テープは「物と物を付着させる」印象が強いですが、セキュリティ対策としても活用されています。
Optical Clear Adhesiveの頭文字からOCAと呼称されている光学透明両面テープです。
ディスプレイとカバーガラスやタッチパネルの間に空気層があると界面反射を起こしてしまいます。張合される材料に近い屈折率の材料で空間を補填することにより界面反射を低減が可能で、OCAは空間補填の材料の一つです。
同じ用途としてOCRが挙げられるのですが、OCRと比較すると樹脂がはみ出ないことでの取り扱いの良さや、厚さが均一となることから製品の個体差が生じにくい点が挙げられます。ただし、カバーガラスの印刷段差吸収のための厚みが必要な点や接着材料を必要な形に加工するコストが必要です。
アクリル系やシリコン系など多々登場しているので用途に合わせたOCAを選べます。テープ状に加工された粘着剤をローラーにて張り付けたり、真空中で張り合わせたりや、平面同士だけではなく曲面張合に対応したものなど、方法・種類も多々用意されています。
OCAは加工性と膜厚均一性に優れている特徴を持っています。光学的に均一な透明で、接着不良が出ない点や寸法変化を起こさない点などOCAには多々メリットがあります。
加工方法としては打ち抜き加工が挙げられます。ただし、加工性が悪い場合はOCAが端からはみ出してしまうこともありますし、セパレータが剥離することで貼付不良を起こすこともあります。また、打ち抜き時のプレス機の衝撃によってOCAに影響が出るケースもあります。
ヨレてしまうこともあれば、線状気泡が出てしまうこともありますので、気泡を出さないための気泡レス加工も行われています。もちろんいずれの加工も加工技術によって質が異なります。
情報参照元:イプロスものづくり|OCAの打ち抜き加工 オーティス
基材レスの粘着フィルム、OCAへの注目度が高まっています。光学的に高い透明性を持つことから、ガラスやアクリルを張り合わせる部材として活用できるのです。OCAは部材の間にある空気層に充てんするためのもので、粘着性だけではなく視認性が注目度の高さの理由です。
スマートフォンやタブレット、パソコン、テレビやカーナビのディスプレイなどに利用されているのも、粘着性の高さに加えて視認性の高さがあるからこそです。空気層に充てんすることで粘着性を高めても、視認性が悪化してしまうとスマートフォンやタブレットの実用性が低下します。
そこでOCAの透明性が注目を集めるに至りました。均一な透明性を誇る点や高い透過率を維持した光拡散性、屈折率を調整できる機能や光源から波長を吸収する機能、さらには太陽光による劣化を防ぐUV吸収機能など、有用性の高い特徴を備えています。
また、種類に関しても光学粘着タイプ、拡散粘着タイプ、波長吸収タイプ、低透湿タイプ、屈折率制御タイプが用意されていますが、これらがOCAに活用されていることからも、OCAが時代のニーズにマッチした特性を備えたものであることが伺えます。
OCAが大きな注目を集めているのは、スマートフォンやタブレットとの相性が良い点が挙げられます。多くのサービスのみならず、自治体・行政のサービスまで集約されるなどスマートフォンやタブレットは生活必需品と呼べるほどのアイテムです。
スマートフォンやタブレットは高性能である点はもちろんですが、常にモニターを確認しますので視認性の高いOCAでなければ、スマートフォンやタブレットの実用性を低下させてしまいかねないのです。
もはや車にとって「当たり前の装備」となっているタッチパネル式のカーナビもスマートフォンやタブレット同様、視認性が問われていますのでOCAが重宝されています。特にカーナビは運転中の視認が想定されていますので、スマートフォンやタブレット以上に視認性が求められます。
一方、スマートフォンやタブレットのように気軽に修理に出せるものではありませんので、より高い接着技術が求められています。
また、自動車のIT化が加速しており、冒頭でもお伝えしたようにカーナビが「特別な装備」から「当たり前の装備」となっていることから、需要が増加しています。近年は地図としてだけではなく運転中の情報収集端末としての特性を持つようになるなど、特性が変化しつつありますがそれらもOCAがあるからこそです。
OCAの需要が高まっている一方で、OCAの加工技術はそれぞれ異なります。
そのため、「OCAを使用する」だけではなく、どこに加工を依頼するのかも重要です。カット断面の仕上がりの美しさに加え、技術や検査精度に関する実績が明示されているのかやクリーンルームが完備されているのか等が判断材料となります。
また、依頼者の声に耳を傾けてくれるのかや柔軟に対応してくれるのか、相手が得意としている領域と自社のニーズがマッチしているのかなども重要です。
ラミネート加工は、主に加工会社に依頼することになります。試作品作成の流れは以下のとおりです。
最初に行うのが加工会社への依頼です。加工会社に材料の選定や加工方法、作業を短縮するための提案などをしてもらいましょう。
加工会社への依頼が終わったら、形状確認用のサンプルを作成してもらいます。サンプル作成にかかる時間は加工会社によって異なります。
サンプルの作成が終わると、加工会社から出荷の通知が来ます。配送にかかる日数が気になる方は、事前に問い合わせておきましょう。
サンプルが手元に届いたら、実物をくまなくチェックしましょう。材料や精度、クオリティなどを確認し、依頼の可否を決めることが大切です。
主に以下に当てはまるものは、ラミネート加工が可能です。
一方、ラミネート加工は、どのようなものでも対応できるわけではありません。加工不可能なものや、対応が難しいものもあります。加工会社へ相談する前に、ラミネート加工できるかどうかチェックしておきましょう。
ラミネート加工は、基本的に熱を加えてフィルムを接着するため、熱の影響を受けやすいものには対応していません。例えば、レシートやFAXなどで使われている感熱紙は、ラミネート加工が不可能です。
感熱紙は熱に弱く、熱を加えると黒く変色してしまいます。ラミネート加工は全体に熱を加えますので、感熱紙が真っ黒になってしまうのです。文字が読み取れなくなるため、ラミネート加工はできません。
貴重品もラミネート加工が難しいと考えておきましょう。ラミネート加工後は、フィルムがピッタリとくっつくため、元に戻すことができません。また、加工のやり直しも難しいことから、貴重品を失ってしまうリスクがあります。
黒くて光沢があるものも注意が必要です。ラミネート加工を行った場合、白っぽくなったり、気泡が入ったりするおそれがあります。中でも面積が大きなものは、気泡が入りやすいです。ラミネート加工する際は、慎重な温度・速度調整が求められます。
クレヨンで書いたものはラミネートが困難です。クレヨンなどの画材は熱で溶けるなど、変質しやすいため、ラミネートは避けたほうがよいでしょう。もしラミネート加工したい場合、入念なテストが必要です。
フリクションボールペンで書いたものはラミネートできません。フリクションボールペンは、熱でインクが消える性質があります。ラミネーターの熱が加わると、書いたものが消失してしまいます。
厚みがあるものも注意が必要です。ラミネート加工は、対象物をフィルムで挟み込み、ローラーで熱と圧力を加えながら接着させます。そのため、厚みがあると隙間ができたり、正しく接着できなかったりします。対象物が送り込まれず、ラミネーター本体や部品が破損するおそれもあります。
ラミネート加工できる対象物の厚みは、加工会社が導入しているラミネーター次第です。厚みがあるものをラミネートしたい時は、加工会社としっかり相談してみましょう。
和紙や布のほか、セロハンや塩ビ、ポリエチレンもラミネートには向きません。和紙・布は波打ってしまう原因になります。セロハン・塩ビ・ポリエチレンは熱で溶けることがあります。
表面にシワ・凹凸があるものも避けましょう。気泡が入ったり、フィルムがよれたりする可能性があります。
取扱材料は15万種類、自社設計による設備は600台を用意。さらには受注から納入まで最短6時間を掲げ、1ヶ月に1億個以上の生産を行っている業者です。もちろんただ数字に優れているだけではなく、これらの環境を持って、依頼者の要望に応えます。
本社所在地 | 岡山県真庭市中原202-13 |
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営業時間/定休日 | 記載なし |
電話番号 | 0867-42-3690 |
グーグルマップ |
材料の手配から加工まで一貫して行っている業者です。テープの品質を理解しているオペレーターが丁寧に加工。スピード感やコストパフォーマンス等を追求し、依頼者のニーズに応えます。
本社所在地 | 東京都台東区東上野1-1-1 O&Kビル5F |
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営業時間/定休日 | 9:00~17:00/土日祝 |
電話番号 | 03-5818-6461 |
グーグルマップ |
OA機器から家電、車載関連からヘルスケア・メディカル関連まで幅広い取扱製品を誇る業者です。ラミネート加工では電磁波シールド用金属箔や熱拡散用グラファイトシートをPETやポリイミドを使用して絶縁。クリーンルームを用いることで気泡や異物混入を防ぎます。
本社所在地 | 長野県岡谷市川岸上3-3-17 |
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営業時間/定休日 | 9:00~17:00/土日祝 |
電話番号 | 0266-23-9161 |
グーグルマップ |
公差実力値±0.05mm程度(素材・形状による)
社内保有素材の場合は最短即日納品可能(目標6時間)
自社開発の生産設備を多数持ち、金型・治工具の内製化ができる体制により、開発・試作~量産と、製品開発を段階ごとにサポートできる。
今後、より求められる技術ニーズを捉えた、フィルムや金属箔などの加工実績があり、歩留まりの改善・難加工材への対応を実現。
±0.05~±0.3
場合によって即日対応するケースあり。通常、納期の目安は平均1週間程度。
ISOクラス1(1m²に0.1ミクロンのホコリが10個以下)のスーパークリーンルームを完備、医療品分野などでマストとされる要件を満たした加工環境を持つ。
PDMS(ポリジメチルシロキサン)成形や高精度の貼り合わせ加工、アッセンブリ、パッケージングまでワンストップで対応でき、短納期を実現。
打ち抜き規格±0.1mm(実力値では±0.05)対応可能
保有設備で対応可能な場合、最短当日出荷
打ち抜き加工のみならず、貼り付け・貼り合わせ・スリット・ラミネート・脱泡など幅広い加工に対応でき、取り扱い材料も多岐にわたる。
開発・試作段階から相談可能で量産試作~量産と製品開発を段階ごとにサポートでき、依頼企業の構内での製造・生産管理・設備のメンテなども受託可能。
【選定条件】
「フィルム加工メーカー」で検索し、公式サイト内で「プレス加工」「打ち抜き加工」に対応していることを明記している54社から、最短当日出荷が可能で、加工精度を明記し、さらに高機能フィルムにも対応する3社を選定。
(2022年2月9日時点)