PENフィルムとは?

PENフィルムとは

PENフィルムとは、ポリエステル系樹脂であるポリエチレンナフタレート(Polyethylene Naphthalate)を基材とするフィルムのことです。

従来から汎用的に利用されているポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに似た性質を持ちながら、より高い機械的強度や耐熱性、耐薬品性などを備えています。そのため、PETよりも一段上の高機能樹脂として位置づけられることが多いです。

PENフィルムは国内では帝人(現・東洋紡)が開発した「テオネックス(Teonex)」ブランドが特に有名です。

素材について

PENは、主原料としてナフタレン2,6-ジカルボン酸ジメチルエステル(NDC)とエチレングリコール(EG)を重縮合させて合成される熱可塑性ポリエステルです。PETがベンゼン環を1つ持つテレフタル酸を原料としているのに対し、PENはベンゼン環が2つ連結したナフタレン環を骨格としているため、分子鎖が剛直になり、より高い剛性や耐熱性を示します。

PENフィルムの特徴

PENフィルムは以下のような特徴を持ちます。

PENフィルムの用途は?

PENフィルムは、主に電気絶縁材料やフレキシブル基板材料として注目を集めています。モーターやトランス向けの絶縁紙、フレキシブルプリント基板(FPC)、フラットフレキシブルケーブル(FFC)などが代表的な用途として挙げられるでしょう。

PENフィルムの活用事例

東京大学のフレキシブルディスプレイ

東京大学の研究グループは、MEMS技術を応用して大面積・フレキシブルなディスプレイを低コストで製造する技術を開発しました。

PENフィルムなどの透明プラスチック薄膜に金属薄膜を重ね、静電気力を利用して画素単位でPENフィルムの層を接離させ、ファブリ・ペロー干渉により特定波長の光を出したり消したりする仕組みです。

PENフィルムは強度が高く曲げにも強いため、ロール・ツー・ロールによる連続生産が容易で、量産性向上とコスト削減につながると期待されています。

凸版印刷のフレキシブル電子ペーパー

凸版印刷は、PENフィルム基板上にアモルファス酸化物半導体(InGaZnO)を用いたTFTを形成し、米E Inkが開発した電気泳動型の電子ペーパーを駆動させる技術を実証しました。

これにより2インチ型のフレキシブル電子ペーパーが実現しています。

InGaZnOは比較的低温で成膜可能なため、PENのようなプラスチック基板に対して熱ダメージが少なく、従来のアモルファスSi TFT(250℃前後のプロセス温度が必要)に比べて変形リスクを低減できます。

東京大学の人工皮膚

東京大学の研究グループ(染谷隆夫助教授、桜井貴康教授ら)は、PENフィルムを用いた伸張性のある人工皮膚を開発しています。

網目状にくり抜いたPENフィルムに圧力センサや温度センサを搭載し、卵の表面のような自由曲面にも貼り付けられる点が特徴。300g/cm^2までの圧力と80℃までの温度を測定可能で、卵の表面に貼り付けた状態で圧力を加えても問題なく計測できることが確認されています。

この技術により、ウェアラブル端末やロボットの皮膚などにも応用できる可能性があります。

東洋紡の車載フィルム(テオネックス)

東洋紡が展開するPENフィルムブランド「テオネックス」は、自動車分野での採用が増えており、特に電気自動車(EV)のワイヤハーネスや燃料電池車(FCV)のセル封止用シール材などでの実績が注目されています。

高い絶縁性や耐熱性に加え、薄膜化による軽量化効果もあり、車両の省エネなどの面で需要があるのです。今後もEVやFCVの普及に伴って需要拡大が見込まれるとされています。

参照元:日経クロステック|PEN樹脂(https://xtech.nikkei.com/dm/article/WORD/20060928/121619/)

参照元:日刊工業新聞社 ニュースイッチ|東洋紡が売上高2倍へ、車載フィルムで攻める(https://newswitch.jp/p/38557)

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加工精度

公差実力値±0.05mm程度(素材・形状による) 参照元:オーティス公式HP(https://otis-group.com/blog/290/

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社内保有素材の場合は最短即日納品可能(目標6時間)

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自社開発の生産設備を多数持ち、金型・治工具の内製化ができる体制により、開発・試作~量産と、製品開発を段階ごとにサポートできる。

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今後、より求められる技術ニーズを捉えた、フィルムや金属箔などの加工実績があり、歩留まりの改善・難加工材への対応を実現

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加工精度

±0.05~±0.3

試作納期

場合によって即日対応するケースあり。通常、納期の目安は平均1週間程度

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