音響変換フィルムとは

音響・オーディオ分野で活用されているフィルムに関する情報を解説しています。特徴や仕組み、どのようなシーンで活用されるのかを見ていきましょう。

音響変換フィルムについて

音響変換フィルムとは、電圧を掛けることでスピーカーのように音を発生させるフィルムのこと。主に富士フイルムが開発したスピーカー技術「B.E.A.T.」が挙げられます。

フィルムそのものを振動板として音を発生させる全く新しい仕組みを持つ製品で、従来のスピーカーに見られる厚みや複雑な構造を一新し、わずか30~100μmという髪の毛と同程度の薄さでスピーカー機能を実現します。

参照元:富士フイルム|Future CLIP(https://sp-jp.fujifilm.com/future-clip/whats_this/vol46.html)

仕組みについて

物体の振動によって伝わる「音」。一般的なスピーカーでは磁石とコイルでコーン紙を振動させて伝導する方式が採用されていますが、薄型設計のスピーカーであっても一定の厚みが避けられませんでした。

しかし、「B.E.A.T.」は圧電セラミックスと特殊な粘弾性ポリマーを用いた圧電コンポジット層を電極層で挟む構造を採用しており、この設計によって画期的な薄型化を達成しています。

圧電セラミックスの性質

この技術の鍵となる圧電セラミックスには2つの特徴的な性質があります。1つ目は電圧を加えると伸縮し振動を生む性質、2つ目は外部からの圧力を受けると電圧を発生させる性質です。

1つ目の性質を活用することで、磁石やコイルが不要な非常に薄く軽いスピーカーが可能となりました。また、このフィルムをディスプレイや他の素材に貼り付けることで、その素材を振動させて音を生み出す「エキサイター」としても応用できます。

さらに、2つ目の性質を利用すれば、振動を電気信号に変換するマイクロホンやピックアップセンサーとしての活用も期待されています。この技術により、音響機器だけでなく、さまざまな分野への応用を広げることもできるでしょう。

B.E.A.T.の特徴

B.E.A.T.の最大の特徴は、粘弾性ポリマーの採用によって薄く、さらに簡単に曲げられる点です。

圧電コンポジットでは通常、振動エネルギーを効率よく伝えるために硬いポリマーが好まれます。しかし、硬いポリマーは曲げるとひび割れや破損が発生しやすく、自由な形状やデザインへの応用が困難でした。

「B.E.A.T.」では、これを解決するため、周波数に応じて硬さを変化させる特殊な粘弾性ポリマーを採用。折り曲げても壊れにくいというフレキシブル性を実現しました。この特性により、従来の硬い材料では難しかった自由な形状のデザインや複雑な用途への応用が可能になりました。

薄く曲げられる特性から、使用する素材や環境の選択肢を大幅に広げることが可能。自動車シートのヘッドレストにスピーカーとして設置する、カフェの天井など音響設備を設置できなかった箇所から音を出すなど、様々な場所や形状の物体に貼り付けて音を生み出すことが可能です。

まとめ

音響・オーディオ分野で期待されているフィルムの知識・技術についてお伝えしました。こちらのサイトでは他にもフィルムに関するコラムのほか、フィルム加工を行う企業・加工事例などもご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

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