このページでは、フィルム加工においてさまざまな効果を生み出す蒸着とは何か、基礎知識や用途、蒸着で使われる素材について解説します。
蒸着とは、真空容器内でアルミニウムや酸化物などの物質を加熱・蒸発させ、気体分子となったものが基板にくっつくことによって薄い膜を形成する加工技術です。その工程から「真空蒸着」とも呼ばれます。
日本では、1930年代にレンズの反射防止膜をつくるのに蒸着技術が使われるようになり、その後、技術の進歩によって印刷や様々な分野に応用できるようになりました。
蒸着する方法は、主に「物理蒸着」と「化学蒸着」の2つです。使用される物質や製品の製造方法によって、どちらか適切な方法が選ばれます。加熱・蒸発させる物質やフィルムの素材、膜の厚みを変えることによって、付加機能を持たせた加工も可能です。
基材と膜の組成方法のちがいによって、様々な機能を持たせた蒸着フィルムをつくれます。
例えば、アルミを蒸着すると、水蒸気バリア性や酸素バリア性、光遮断性などの機能を持つフィルムになります。このアルミ蒸着フィルムは、菓子類やレトルト食品の袋や飲料ラベル、電子部品などの精密機器に適しています。
また、シリカを蒸着するとケイ素酸化物が薄い膜となって形成されるため、ガスバリア性や保香性、耐薬品性の高いフィルムになります。そのため、印刷や包装などの目的に広く利用されています。
蒸着フィルムの中でも広く使われ、ポピュラーと言えるのがアルミ蒸着フィルムです。アルミニウムを高真空状態で加熱して蒸発させ、フィルムの表面に気化したアルミニウムを付着させます。
アルミ蒸着フィルムは水蒸気バリア性や酸素バリア性を持つほか、ガスバリア性や防湿性、保香性に優れ、紫外線や赤外線を遮断する効果も持っており、長期保存が必要で電子レンジでの加熱にも耐えられるレトルト食品の包装に用いられることが多いです。
アルミ蒸着は光遮断性や防湿性にも優れており、保冷ボックスや精密機械の防湿包装、医薬品・化粧品など、様々なところで使われています。
ちなみに、アルミ蒸着フィルムを基材にしてポリエチレンなどをラミネートしたものをアルミラミネートと言い、食品の梱包や建築で使う断熱資材、精密機器を輸出する際の梱包材として活用されます。
アルミを蒸着させるために使われる基材には、PETやナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどが用いられます。フィルムの使用目的にあわせてこれらの素材を変化させると、様々な効果を持つフィルムを作ることが可能です。
例えば、ポリエステルの一種であるPETを使用したアルミ蒸着フィルムは特にバリア性が高く、スナック菓子や食品、お茶の包装に用いられます。
ポリプロピレンを使用したアルミ蒸着フィルムは、バリア性はもちろんラミネート強度に優れた特性もあり、チャックシールのついた食品の包装に適しています。アルミ蒸着を施したポリスチレンは、チョコレートやケーキなどのお菓子の型崩れ防止の容器に使われています。
透明蒸着フィルムとは、アルミナや金属ケイ素などの無機物をフィルムに蒸着させたものです。
バリア性が高い点はアルミ蒸着フィルムと同じですが、アルミ蒸着と違って透明性があり、電子レンジでの加熱調理にも耐えられます。X線検査ができるため、包装後に金属探知が必要な製品に向いています。
また、透明蒸着フィルムはアルミ蒸着フィルムよりも環境に対する負荷が小さいとされています。そのため、今では包装材料や医療、産業など、幅広い分野や用途に使われています。
スパッタリングとは、蒸着と同じように薄い膜を形成する技術のひとつですが、加工方法に違いがあります。蒸着は金属を真空中で加熱・蒸発させて気化させた状態で付着させるのに対し、スパッタリングは材料の成分を電気でイオン化させ、直接素材に衝突させて膜を形成する方法です。
そもそもスパッタリングとは、原子や分子、イオンが高速で表面にぶつかったとき、粒子が放出される現象のことを言います。被膜形成の分野では、放出された粒子が基板の表面にくっつき、皮膜となる過程も含めてスパッタリングと呼びます。
フィルム加工において、蒸着を選択すべきかスパッタリングにすべきかは、双方のメリット・デメリットの理解が必要です。
蒸着は金属・非金属に対応でき、コストも比較的安価でコーティングまでの時間が短いのが利点です。一方、スパッタリングは付着力が強く、大面積のコーティングに向いていますが、成膜速度が遅く時間がかかります。
どちらの方法にするかは、対象物の状態や費用感、加工にかかる時間などを総合的に検討した上で選択しましょう。
公差実力値±0.05mm程度(素材・形状による)
社内保有素材の場合は最短即日納品可能(目標6時間)
自社開発の生産設備を多数持ち、金型・治工具の内製化ができる体制により、開発・試作~量産と、製品開発を段階ごとにサポートできる。
今後、より求められる技術ニーズを捉えた、フィルムや金属箔などの加工実績があり、歩留まりの改善・難加工材への対応を実現。
±0.05~±0.3
場合によって即日対応するケースあり。通常、納期の目安は平均1週間程度。
ISOクラス1(1m²に0.1ミクロンのホコリが10個以下)のスーパークリーンルームを完備、医療品分野などでマストとされる要件を満たした加工環境を持つ。
PDMS(ポリジメチルシロキサン)成形や高精度の貼り合わせ加工、アッセンブリ、パッケージングまでワンストップで対応でき、短納期を実現。
打ち抜き規格±0.1mm(実力値では±0.05)対応可能
保有設備で対応可能な場合、最短当日出荷
打ち抜き加工のみならず、貼り付け・貼り合わせ・スリット・ラミネート・脱泡など幅広い加工に対応でき、取り扱い材料も多岐にわたる。
開発・試作段階から相談可能で量産試作~量産と製品開発を段階ごとにサポートでき、依頼企業の構内での製造・生産管理・設備のメンテなども受託可能。
【選定条件】
「フィルム加工メーカー」で検索し、公式サイト内で「プレス加工」「打ち抜き加工」に対応していることを明記している54社から、最短当日出荷が可能で、加工精度を明記し、さらに高機能フィルムにも対応する3社を選定。
(2022年2月9日時点)