フィルム加工を行う、多くの会社が導入している加工方式の「ロールtoロール」。ここではロールtoロール方式の特徴や強みなどを解説しています。
フィルム加工設備に用いられるロールtoロール方式とは、ロール状に巻かれたフィルムを加工設備に通し、最終的に別のロールへ巻き取って製品化する生産方法です。ロール状のフィルムを連続的に処理できるため、多量生産と低コスト化を実現できる点が大きな特徴です。
ロールtoロール方式の大きな利点は、連続生産が可能であることです。たとえば、従来のように長いフィルムを一枚ずつシート状に切り分けて個別に装置へ搬入・搬出を繰り返す方法では、手間や時間がかかり、装置の規模も大きくなる点が懸念となります。
ロールtoロール方式では長尺のフィルムが連続して流れながら、印刷やコーティングなどの処理をまとめて行えるため、効率的に大量生産を行えるのです。
もともとロールtoロール方式は印刷の分野で使われてきた技術で、新聞やポスターなど大判の紙へ大量かつ高速に印刷する目的で発展してきました。
近年では、高精度なコーティングや薄膜形成が可能になったことで、電子デバイスの製造にも応用され始めています。スマートフォンやタブレットが普及する中、タッチパネル用の透明電極やセンサー、フィルム状のヒーターやアンテナなど、多種多様な機能をもつフィルム製品が登場し、ロールtoロール方式が活躍の場を広げています。
ウェブハンドリング技術は、DNPが開発した技術です。フィルムを巻き取り・搬送・加工する一連のプロセスを正確かつ安定的に行うための技術です。
フィルムにシワや破断が生じないようにテンションを制御すること、ローラーへの巻き取り速度を適切に調整すること、位置ずれを最小限に抑えることなどが主に挙げられます。
高速化を図ると、わずかな誤差が大きな不良につながる可能性があるため、経験やノウハウの蓄積が非常に重要です。ウェブハンドリング技術が高度化したことで、ロールtoロール方式でも品質を安定させながら大量生産できたとされています。
DNPのインライン多層コーティングは、巻き出したフィルムに複数の層を連続的に重ねていき、最後に巻き取るまでを一貫して行います。この手法により、工程を効率化できるだけでなく、層と層の界面を滑らかにつなぎやすいというメリットがあります。
たとえば光学フィルムや、高機能性膜などの均一性や膜厚精度が求められる製品は、短時間で連続して多層を形成することで、高品質かつ生産性の高いプロセスが実現します。事前準備や後処理が減るため、コストダウンにも貢献できるでしょう。
参照元:DNP|ロールtoロール技術による光学フィルムの量産(https://www.dnp.co.jp/biz/products/detail/20172644_4986.html)
ロールtoロール方式の課題としては、加工設備に対して精密な位置合わせや温度・湿度の管理など、多数の要因を同時に最適化する必要がある点が挙げられます。
電子デバイスのように微細なパターン形成が必要な場合、数十マイクロメートル単位のズレが不良品を生む要因になりかねません。フィルムは熱や張力でわずかに伸縮するため、連続搬送の中で高精度を維持するのは課題となります。また、多層コーティングの工程でも、コーティング液の粘度や塗布速度、乾燥条件などを緻密に調整しないと、ムラや気泡が発生しやすくなります。
また、ロールtoロール方式の特徴である「連続処理」は、大量生産に有利な一方で、ラインのどこかにトラブルが起きると全体が停止するリスクを抱えています。フィルムの破断や巻き取り時のズレが起きると、復旧に手間とコストがかかるため、装置間の連携や監視システムが必要です。
近年は、センサー技術やAIを活用した自動制御が注目されています。たとえば、カメラなどでリアルタイムにフィルム表面の欠陥を検知し、ラインの速度やコーティング厚みを自動調整するといった方法です。フィルムの挙動をセンシングすることで、テンションやローラーの回転数などを細かく制御する技術も開発が進んでいます。
公差実力値±0.05mm程度(素材・形状による) 参照元:オーティス公式HP(https://otis-group.com/blog/290/)
社内保有素材の場合は最短即日納品可能(目標6時間)
自社開発の生産設備を多数持ち、金型・治工具の内製化ができる体制により、開発・試作~量産と、製品開発を段階ごとにサポートできる。
今後、より求められる技術ニーズを捉えた、フィルムや金属箔などの加工実績があり、歩留まりの改善・難加工材への対応を実現。
±0.05~±0.3
場合によって即日対応するケースあり。通常、納期の目安は平均1週間程度。
ISOクラス1(1m²に0.1ミクロンのホコリが10個以下)のスーパークリーンルームを完備、医療品分野などでマストとされる要件を満たした加工環境を持つ。
PDMS(ポリジメチルシロキサン)成形や高精度の貼り合わせ加工、アッセンブリ、パッケージングまでワンストップで対応でき、短納期を実現。
打ち抜き規格±0.1mm(実力値では±0.05)対応可能
保有設備で対応可能な場合、最短当日出荷
打ち抜き加工のみならず、貼り付け・貼り合わせ・スリット・ラミネート・脱泡など幅広い加工に対応でき、取り扱い材料も多岐にわたる。
開発・試作段階から相談可能で量産試作~量産と製品開発を段階ごとにサポートでき、依頼企業の構内での製造・生産管理・設備のメンテなども受託可能。
【選定条件】
「フィルム加工メーカー」で検索し、公式サイト内で「プレス加工」「打ち抜き加工」に対応していることを明記している54社から、最短当日出荷が可能で、加工精度を明記し、さらに高機能フィルムにも対応する3社を選定。
(2022年2月9日時点)