インモールド成形とは?【フィルム加工・加飾の基礎知識】

ここでは、インモールド成形の特徴やメリット、用途例などのほか、フィルムインサート成形とは何が違うのかを解説します。

インモールド成形について

インモールド成形とは、射出成形金型の中にフィルムを入れて成形し、樹脂製品に転写する成形法をいいます。デザインが施されたフィルムを熱や圧力で樹脂製品を密着させるため、短時間で成形と加飾を同時に行えます。また、意匠性の高い加飾が可能なため、さまざまな分野の製品で用いられています。

インモールド成形を利用すれば、樹脂製品への塗装が不要になります。そのため、従来の製造方法よりもコストダウンできる可能性もあります。

インモールド成形のメリット

インモールド成形のメリットは、成形と加飾を同時に行える点にあります。金型内で樹脂製品を成形すると同時に、フィルムを転写しますので、塗装などの工数を削減することが可能です。工数が削減されるため、スピーディに製品を生産できます。

複雑な加飾が1工程で済む点もメリットといえます。製品に転写するフィルムは、多色デザインにも対応していますので、一度に複数の加飾を施せます。塗装のように何層も塗り分けたり、複数回に分けて作業したりする必要はありません。

また、金型次第で複雑な形状の製品に対応できることも強みです。金型に樹脂を充填して成形するシンプルな製法ですので、別途加工する必要がありません。射出後はそのまま利用することが可能です。

フィルムインサート成形との違いは?

インモールド成形と似た加工方法にフィルムインサート成形があります。どちらも射出成形金型で樹脂製品を成形・加飾する点は同じですが、印刷面の封入の有無が異なっています

インモールド成形の場合、樹脂製品はフィルムと直接密着する一方、表側に印刷面が出るのが特徴です。樹脂製品・フィルム・印刷面という状態になります。一方のフィルムインサート成形は、樹脂製品とフィルムの間に印刷面が封入されるため、表側に印刷面が出ることはありません。

こうした違いのほか、用途に合わせて使い分けられています。例えば、フィルムインサート成形はPLラインまでしか加飾できませんが、インモールド成形はPLラインまで加飾できます。また、インモールド成形は予備成形不要なため、フィルムインサート成形よりリードタイムを短縮化したい時に用いられています。

インモールド成形の工程は?

インモールド成形は、以下の流れで樹脂製品を成形します。

  1. フィルムを金型内へ供給する
  2. フィルムを指定の位置に吸引して固定後、金型のキャビティにしっかり密着させて金型を閉じる
  3. 金型を閉じた後、フィルムを挟んだ状態で樹脂を金型へ流し込む
  4. 金型から樹脂製品を取り外す

インモールド成形の主な用途例

インモールド成形の事例紹介

幅広い製品に用いられているインモールド成形。実際にインモールド成形を用いて作られた製品事例をご紹介します。

インモールド成形の製品事例|スマートフォン部品(吉田テクノワークス株式会社)


画像引用元:吉田テクノワークス(https://www.yoshida-tw.co.jp/products/box-geometry/)

インモールド成形でスマートフォンの部品を成形した事例です。曲線部分もしっかり加飾が施されています。こちらを手がけたのは吉田テクノワークスで、難度の高い箱型形状への加飾を得意としています。

インモールド成形の製品事例|自動車外装・組立部品(河村化工株式会社)


画像引用元:河村化工(https://www.kawamura-kako.co.jp/case/moulding-instrument-cluster-no-1/)

インモールド成形を用いて自動車の外装部品を成形した事例です。素材はPCとABSを用いています。こちらを手がけた河村化工は、小型部品から大型部品まで、さまざまな樹脂製品を一貫生産できる体制を整えています。

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