高機能フィルムの製造方法や機能について

ここでは、高機能フィルムの製造方法や機能、種類などをまとめています。フィルムの製法を知りたいと思っている人は必見です。

高機能フィルムの製造方法について

ベースフィルム製造

ベースフィルムは加工を施す前の土台となるフィルムのことで、原反とも呼ばれています。ベースフィルムの製造方法は押出成形法と溶液流延法の2種類が存在し、押出成形法はさらにインフレーション法とTダイ法に分けられるのです。

延伸工程では、フィルムの厚みやサイズを調整するだけでなく、強度や偏光、透明感などの特性が付け加えられます。

コーティング(ウェット・ドライ)

目的に合った材料をベースフィルムの表面に付け、機能性をもたせる工程です。機能によっては複数の材料を使い、多層コーティングを行うケースもあります。なお、コーティングにはウェットとドライの2種類が存在します。

ウェットコーティングは、ベースフィルムを作る際の溶液流延法と同じような手法です。材料を溶媒に分散もしくは溶融させてベースフィルムに塗布した後、乾燥・蒸発させて成膜します。製品の質を均一にするためには、コーティング剤の種類や塗布量、乾燥時間などを適切に調整するのが重要です。

ドライコーティングには蒸着やスパッタリングなどがあり、金属系の材料をベースフィルムに付着させるための手法です。真空中での処理が必要なため、そのための設備が必要になります。

ラミネート

複数のフィルムを重ねる工程で、接着剤を使用して別工程で製造したフィルムとプロテクトフィルムとを貼り合わせます。ベースフィルムで使われる押出成形法の中でも、複数の材料を効率的に重ね合わせる共押出法を採用するケースが多いです。

シートカット

ラミネートまで終わったフィルムを目的に沿ったサイズにカットする工程です。流れ方向にカットするのをスリットと言い、これをロール状にすることで食品用ラップや粘着テープなどに仕上がります。

一方、幅方向にカットすることをシートカットと言い、スマートフォンの部品や医薬品の包装フィルムなど仕上げる際に採用されます。

空冷上向きインフレーション法について

原材料となる樹脂は、熱を加えることでドロドロの液体になり、冷却することで個体に変化するという「熱可塑性」の性質を持っています。そのため、液体となった原料をフィルム状に仕上がるためには、スムーズな状態変化が重要となるでしょう。

そこで有効なのが「空冷上向きインフレーション法」です。この製法では、口金から溶融した原料を押し出すのと同時に空気も送り込み、原料を風船のように膨らましながらフィルムを作ります。出来上がったフィルムは筒状で、底面をシールすれば袋状に、両端をカットすれば2枚のフィルムに仕上がります。

高機能性フィルムの主な種類・機能について

シュリンクフィルム

シュリンクフィルムは熱によって伸び縮みする性質を持っており、収縮フィルムとも呼ばれます。伸縮性の高さと滑らかな光沢を有していることから主に包装用として使用されており、商品の形状に合わせてフィットする審美性の高い包装が可能です。

また、強度も高く、耐水性や耐寒性にも長けており、商品の保護フィルムとしても重宝されています。なお、シュリンクフィルムにはPVCやPE、PETなどさまざまなものがあり、採用する素材によって特徴が異なるので、使用目的に合わせて適したフィルムを選択しなければなりません。

さらに、1度破れてしまうと修復不可能なため、新品商品の改ざん防止にも活用されています。

フッ素樹脂フィルム

フッ素樹脂フィルムにはさまざまな機能が搭載されており、使用する場面が非常に多いのが特徴です。数ある機能の中でも特に耐熱性が高く、最高温度260度、最低温度はマイナス100度まで対応できることから、熱さのみならず寒さにも強い特性があります。耐熱範囲が非常に広いため、形状に関する劣化はほとんど生じません。

また、フッ素樹脂フィルムは吸水性を一切持たないため、気候の変化による影響を受けないのもポイントです。紫外線による外的ダメージにも強く、屋外での使用にも向いています。さらに、耐薬品性にも長けており、酸やアルカリをはじめとしたありとあらゆる薬品に対して安定した特性を有しているのです。

防錆フィルム

防錆フィルムは、原料に気化性防錆剤が組み込まれており、気化した成分がフィルムの表面に皮膜を作って錆を防止します。あらゆる金属に対応できる反面、使用している防錆材は少量のため、防錆紙などと比べて効果が現れるまでに時間がかかる場合も。

なお、防錆フィルムを使った製品には、プレス金型や精密機械部品などが挙げられます。

表面保護フィルム

表面保護フィルムは最も身近なタイプのフィルムで、スマホやパソコンといった液晶画面を保護するためのものです。最近では画面保護のみならず、映像の鮮明度を維持するものや光の映り込みを防止するタイプのものも販売されています。しかし、鮮明度や光の映り込みの防止機能は両立が難しいため、製品によっては優先度を考えなければなりません。

抗菌フィルム

医療機関や教育施設、子どものいる家庭などは、細菌やウイルスに対しての抗菌性を必要とするシーンが多く、広く行き渡っている機能性フィルムも例外ではありません。一般的に、タッチパネルにはトイレの10倍を超える細菌が付いているといわれており、近年では抗菌を目的として銀イオンを使ったフィルムが多く登場しています。

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