スリット加工とは?テープ・フィルム加工の工法まとめ

スリットの刃でカットし、再びロールに巻き取る加工法である「スリット加工」。このページではスリット加工の特徴やメリットなどを解説します。

スリット加工とは?

スリットとは細長く切る・切り込みを入れるなどの意味がある言葉です。つまりスリット加工はロール状に巻かれている紙やフィルムなどをスリット刃と呼ばれるものでカットし、再びロール状に巻き取る加工法を指します。スリット刃の種類や巻き取る部分の構造などは材質によって変更することができ、要望に合った切り込みを入れられるでしょう。

スリット加工を施す場合は大きなロール状の素材をスリット刃でカット・巻き込むという加工があるため、素材に合わせて張り具合などテンションのかけ方に注意しなければなりません。また上下のスリット刃に隙間ができてしまうので、取り扱う素材に合わせてセットする必要もあります。作業者にはスリット加工に対する技術や知識が求められるでしょう。

スリッターの構造について

スリッターの主な構造は巻き出し部分にセットされている「材料(原反)」を送り出しながら、「ロール(パスライン)」を通しながらスリット刃で切断します。カットした後は再度「ロール(パスライン)」を通して、巻取り部分でロール状に巻き取るのです。

原反には紙を材料としている紙管をはじめ、PE、ABSなど「プラスチックコア」を用いたケースが一般的でしょう。ロールには金属製のものにハードクロムメッキで加工されたタイプや、ゴムを用いたものが多いようです。

さらにロール上にシワを取り除くための「エキスパンダーローラー」が設けられているケースや、シリコンローラーなどの特殊なローラーが付いているケースもあります。

フィルム・テープの巻き方について

「レコード巻きスリット」「トラバース巻きスリット」の二つに大きく分類できます。レコード巻きスリットとは芯材に同列に重ねていく巻き方のことで、市販のテープなどと同様の巻き方です。0.1ミリ単位幅での高精度な加工ができるケースもあります。

一方、トラバース巻きは紙管やボビンなどの芯材に対し、水平に巻き位置をずらしながら巻いていく方法のことです。ミシンなどのボビン糸の巻き方などと同じで、数万メートル以上の長尺でも巻くことができ、テープのかけ替えの回数を減らせます。また巻き崩れのリスクも少なく、加工単価も抑えられるといったメリットもあるでしょう。

フィルムの切断の方法

スリット刃は上刃・下刃が対になっており、上刃と下刃の隙間に材料を挟みながら切断する方法が一般的です。これらを「シェア刃」「丸刃」とも呼び、非切断物の特性によって、刃の材質や角度を使い分けることができます。

ただ非切断物の中にはシェア刃では希望通りの品質に仕上がらないケースもあるため、そういったケースでは「レザー刃」「ギャング刃」を用いることも。ギャング刃は汎用性・管理面などの問題もあり、導入している企業は比較的少ないでしょう。

シェアカット

ハサミのように上刃と下刃を摺り合わせながら切断する方法で、「シェア刃」「丸刃」と呼ばれることも多いです。上刃には45度・60度・90度など様々な角度があり、材質によって角度を選別できます。比較的フィルムの厚さが厚い物を切断する際に使用されることが多いでしょう。

スコアカット

上刃とゴムや金属でできたローラーを押し当てながら切断する方法です。この際に用いられる上刃のことを「スコア刃」と呼ばれます。ミシン目などの加工を施す際に用いられるケースが多いでしょう。

レザーカット

金属のピースローラーの間に、レザー刃・回転刃を用いてスリットを入れる方法です。とくに柔らかいものや薄いフィルムにスリットを入れたいケースで用いられることが多いでしょう。また回転刃は、少し厚みのあるフィルムを切るときにも使用されます。

巻取部の構造

巻取り部分には製品を巻き上げるための支持体があり、紙管やプラスチックコアが使用されています。巻取り軸には1軸・2軸の2つがあり、基本的には1軸で巻き取られますが、フィルム類や粘着テープなどのケースだと2軸を使用することも多いでしょう。1軸だけの巻取り軸の場合、軸だけで巻き取る「センタードライブ」、1本の巻取り軸を上部に1本、下部に2本のローラーで抑えながら巻き取る「サーフェイス式」の2つのタイプがあります。

スリット加工の特徴・長所

様々な製品に対応しているスリット加工は、切断方法や巻き方などによっても特徴などが変わってきます。材質の厚み・強度・テンションのかけ方などを工夫する必要があり、職人のスキルが求められる加工法と言えるでしょう。

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