ハーフ抜き(ハーフカット)の特徴・メリット

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ハーフ抜き(ハーフカット)とは

ハーフ抜き(ハーフカット)は、粘着剤が塗布されたシート状の材料に対して、台紙であるセパレーターを切らずに、その上の粘着層と表面の素材だけを切り込む加工技術です。この加工方法を使うことで、完成品の形状や模様をシート上にきれいに切り出しながらも、台紙と一体化した状態を保ったまま納品することができるのです。

メリットとして、製品はバラバラにならず、台紙に留まっているので現場での取り扱いがしやすく、使うときも必要な部分だけを剥がして簡単に使えるという点が挙げられます。

この技術は、ラベルシールやステッカーなどの量産工程で特に多く使われています。作業者が一つひとつの製品を分けたり探したりする手間を省けます。その結果、組み立て作業の効率が上がり、製品の紛失や貼り間違いといったトラブルも減らすことができます

フルカットとの違いは?

フルカット(全抜き)は、台紙を含むすべての層を刃先で貫通させる加工方法です。台紙から製品を切り離すため、ハーフ抜きに比べて使用時に製品を取り出す手間がかかります。一方で、1枚ずつのバラ納品が可能であることから、ノベルティや販促用の製品には向いている加工方法です。また、個別包装が必要な場合にも用いられます。

ハーフ抜き(ハーフカット)の加工方法

プロッター加工

カッティングプロッター加工は、CADデータに基づいて刃先を自在に移動させ、フィルムや紙、布などの薄手材料を精密に切り出す加工方式です。刃物はペン先のように素材面を軽くなぞりながら切り込みを行うため、金型を製作せずに多品種少量生産に対応できる点がメリット。設計変更時にはデータを修正するだけで対応可能なため、試作から小ロット製造にかかるリードタイムとコストを抑えられます。ただし、厚手や硬質の材料、粘度の高い素材には向かない点に注意が必要です。

トムソン(抜き型)加工

トムソン型(ビク型)加工は、鋼製や木製の型を使ってプレス機に取り付け、材料を一定の隙間で押し切ることで必要な形状に成形する加工方法です。型は使用目的に応じて作られ、その構造によって加工の仕上がりが大きく左右されます。

ハーフ抜き仕様として使う場合、型の中に「フルカット刃」と「ハーフカット刃」を組み合わせた設計が取られます。フルカット刃はセパレーター(台紙)まで完全に貫通し、素材全体を切り離すのに対し、ハーフカット刃は粘着層のみを切り込むように高さが調整されているのです。

この刃先の高低差によって、同じ加工工程の中でフルカットとハーフカットの両方を効率的に行えるのが大きな特徴です。

近年の技術では、厚さが50μmといった非常に薄いセパレーターに対しても、安定した高精度の加工が可能となっています。微細な部品の量産や貼り合わせ工程においても、品質を保ちつつ効率よく加工を行えるでしょう。

一本刃方式

一本刃方式は、フィルムやテープのようなシート材料へ連続的にハーフ抜き加工を行うのに適した加工方式です。1本の刃を用い、その刃先を素材に固定した状態で一定間隔でシートを送りながら切り込みを加えていきます。それにより、加工形状が矩形や長尺といった比較的単純なものであれば、安定した品質で連続加工ができるのです。

メリットとして、専用の打ち抜き型を製作する必要がない点が挙げられます。型の製作にかかるコストや納期を削減できるため、製品開発の初期段階や小ロットのオーダーにも対応しやすくなるでしょう。ただし、複雑な曲線や細かな形状には対応しづらい点には注意が必要です。

一本刃方式はプログラム制御と組み合わせて使うこともあります。例えば一定のショット数(加工回数)ごとにフルカットを加えることで、台紙を切り取って不要なカスを除去した状態のシートを自動的に作り出すことも可能。仕上がったシートは後工程での処理がしやすくなります。

ラベルやテープ製品の少量多品種生産の現場では、高い柔軟性と省力化を目指せる手法として利用されています。

ハーフ抜きが利用される素材について

ハーフ抜き加工は、フィルムやテープ加工の現場において幅広い種類の素材に対応できる技術です。具体的には、台紙付きの両面テープや粘着フィルム・不織布・ウレタンスポンジ・ゴムシートといった、厚みや柔軟性を備えたシート材料に対して用いられます。これらの素材はいずれも、トムソン型のような打ち抜き方式で加工可能な物性を持ちます。粘着剤の付着状態に応じた切り込み圧力を調整することで、フィルムの割れや不織布の繊維飛びなどを防ぎつつ、均一なハーフ抜きができるでしょう。

均一で高精度なハーフカットは、自動車関連部品や半導体装置といった、寸法精度と品質が厳しく求められる分野でも採用されることがあります。

加工に関するリスク対策・メンテナンスについて

カス残り・不良発生について

打ち抜き加工で生じる抜きカスの上がりや詰まりは、刃形状、クリアランス不適正、型内圧変動など多岐にわたる要因で発生します。対策として、スラグキャッチャーダイや逆テーパー刃、ウレタンキッカー、エアーブロー孔を装備し、カスを強制排出する機構を追加するとよいでしょう。金型のメンテナンスで刃先面の清掃や再研磨を定期実施することも有効な手段といえます。

メンテナンスについて

プロッター刃先の交換目安は、塩ビフィルムの場合約4km走行後、切れ味の劣化時に交換し、表面のベアリング清掃も併せて行います。一方トムソン型では、刃先が著しく摩耗して切り込み深さにムラが生じたり、刃先飛び出しが確認された場合に再研磨または型替えが必要となります。定期的な目視点検とメンテナンスを行い、加工精度の維持を目指しましょう。

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公差実力値±0.05mm程度(素材・形状による) 参照元:オーティス公式HP(https://otis-group.com/blog/290/

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今後、より求められる技術ニーズを捉えた、フィルムや金属箔などの加工実績があり、歩留まりの改善・難加工材への対応を実現

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±0.05~±0.3

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場合によって即日対応するケースあり。通常、納期の目安は平均1週間程度

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