コロナ処理とプラズマ処理の違いは?

フィルム加工における前処理として用いられるコロナ処理。よく混同されがちなプラズマ処理との違いや目的別の選び方など、気になる情報を調査しました。

コロナ処理とプラズマ処理の違いは?

コロナ処理とプラズマ処理の違いを理解するためには、まず「コロナ」と「プラズマ」という言葉の定義から知ることが重要です。「プラズマ」とは、固体・液体・気体に次ぐ物質の第4の状態のこと。気体に高いエネルギーを加えることで、原子や分子が電子とイオンに分かれた状態、それがプラズマです。一方「コロナ」とは、放電現象の一種を指します。電極間に高い電圧をかけた際に、気体が部分的に絶縁破壊を起こして発生する青白い光を伴う放電がコロナ放電です。

つまり、コロナ処理は「コロナ放電」という特定の現象を利用して気体をプラズマ化し、そのプラズマを対象物に作用させる表面処理技術です。このため、大きな視点で見れば「コロナ処理はプラズマ処理の一種」と考えることもできます。

ただし、表面処理技術の分野ではこれらは区別されています。その最も分かりやすい見分け方の一つが、処理に特定の「ガス」を意図的に使用するかどうか。コロナ処理は基本的に空気(窒素や酸素の混合気体)をそのまま利用するのに対し、プラズマ処理ではアルゴンや酸素、窒素といった特定のガスを導入して、より精密な処理を行います。このガスの有無が、両者の特性や用途の大きな違いを生み出しているのです。

コロナ処理について

コロナ処理では、電極とローラーの間に処理したいフィルムなどを通して高電圧をかけ、コロナ放電を発生させます。この放電によって空気中の酸素や窒素がプラズマ化し、活性の高いイオンやラジカル(非常に反応しやすい原子や分子)が生成されます。

これらのイオンやラジカルがフィルム表面に衝突することで、表面に「極性官能基」と呼ばれる水や接着剤と親和性の高い化学構造を形成。これにより、もともとインクや接着剤を弾いていた素材の表面の「濡れ性」が大きく向上し、印刷やコーティング、ラミネート加工が可能になるのです。

コロナ処理のメリット・デメリット

コロナ処理の最大のメリットは、大面積を効率よく、かつ低コストで処理できる点にあります。処理装置に関して言えば、構造が比較的シンプルであるため、初期投資や運用費を比較的に安く抑えることが可能。このため、包装用フィルムや各種シート材の連続生産ラインで広く採用されています。

一方で、デメリットとしては、処理の際にオゾンが発生するため、作業環境の安全を確保するための排気設備が必須となる点が挙げられます。また、コロナ放電は本質的に不安定な現象であるため、処理効果にムラが生じやすいという課題も。そのほか、放電空間を直接通過させる構造上素材が帯電しやすいので、後の工程で問題を引き起こす可能性も考慮する必要があります。

プラズマ処理について

プラズマ処理は、コロナ処理と同様にプラズマを利用しますが、より多様で精密なコントロールが可能な技術です。現在では大気中で処理できる「大気圧プラズマ」が主流となっており、その中でも処理方式によって特徴が異なります。

大気圧プラズマ処理:ガス照射型

ガス照射型とはノズルの先端などでプラズマを発生させ、そこから活性化されたガス(ラジカル)のみを対象物に吹き付ける方式のこと。対象物が直接、高電圧の放電に晒されることがないため、「リモートプラズマ」とも呼ばれます。

この方式のメリットは、対象物への熱的・電気的なダメージを抑えられることです。熱に弱い樹脂材料や、電気的なダメージを嫌う電子部品などの処理に適しています。また、ノズルからガスを噴射するため、凹凸のある複雑な形状の部品に対して狙った箇所だけをピンポイントで処理できるような柔軟性を持っています。ただし一方で、処理できる範囲が狭いため、フィルムのような長尺の材料を広範囲に処理するにはあまり向いていません。

大気圧プラズマ処理:放電処理型

放電処理型は「ダイレクトプラズマ」とも呼ばれ、コロナ処理と同様に対向する電極の間に処理対象物を配置。その空間でプラズマを発生させて直接表面を処理する方式のことです。コロナ処理と異なり、意図的に絶縁物を電極間に設置し、誘電体バリア放電を発生させることで高品質な処理を目指します。

この方式のメリットは、処理対象が平面であれば、大面積を連続的に処理できる点です。コロナ処理と同様の用途で使われますが、使用するガスを調整することで、より狙った表面改質が可能。

ただし、電極間の距離が数ミリ程度と狭いため、凹凸のある立体物の処理は難しい場合も。また、対象物に直接高電圧がかかるため、電気的なダメージを与えるリスクも残ります。

フィルム加工依頼におけるコロナ処理・プラズマ処理の選び方

コロナ処理は広範囲な平面材料の前処理向き

樹脂フィルムへの印刷やラミネート加工の前処理・紙への印字性向上・金属箔に付着した油膜の除去など、薄くて広い面積を持つ素材を連続的にかつコストを重視して処理したい場合は、コロナ処理が向いています。包装材や建材シートなど、多くの工業製品の生産ラインで利用されています。

プラズマ処理は立体物やデリケートな素材向き

凹凸のある自動車部品や電子部品の接着性向上・医療用チューブの内面処理・熱に弱い精密樹脂部品の表面改質などであればプラズマ処理が向いています。コロナ処理では対応が難しい立体的な形状や、熱・電気的ダメージを避けたいデリケートな素材などであれば、特にガス照射型のプラズマ処理が良いでしょう。そのほか、導電性フィルムのような、より高品質な表面処理が求められる平面材料には、放電処理型のプラズマ処理が選択されることもあります。

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