フィルム加工・プレス加工に関する基礎知識

フィルム加工・プレス加工メーカーの選び方やトラブル事例、検査を実施するための装置や機器など、フィルム・プレス加工に関する基礎知識をまとめています。

フィルム加工・プレス加工を行う会社の選び方

フィルム加工・プレス加工メーカーを選ぶ際は、どのような機器を有しているかチェックしてみましょう。機器が自社が求める加工に対応したら、納期とコストを確認する必要があります。ただし、コストのみで選ぶのは危険ですので、クオリティもチェックしておきましょう。認識の齟齬を防ぐために、加工メーカーの提案力も確認することが重要です。

フィルム加工に関するトラブル事例

フィルム加工では、まれに不良現象などのトラブルが起こる場合があります。例えば材料からギザギザの突起が飛び出すバリやヒゲ、フィルム表面のキズなどが挙げられます。他にも、材料面に空気が入り込む気泡や、端面が波打ってしまう端面不良などが起こる場合もあります。いずれにせよ、こうしたトラブルには注意しておきましょう。

フィルム加工でクリーンルームを使用する理由は?

クリーンルームは、空気中を浮遊する微生物や微粒子が一定レベル以下に管理された空間のことです。フィルム加工メーカーでは、作業空間にクリーンルームを設置しています。空気中を舞う微粒子などがフィルム加工の不良現象を起こしかねないためです。そのため、クリーンルームを設けて微粒子をしっかり排除し、清潔な空間で作業できるようにしています。

フィルム検査を行うための装置・機器について

フィルム検査は、加工したフィルムの異物やシワ、キズなどをチェックするために行います。検査時に使われる機器は多種多様で、ワーク全体を写すラインカメラや、異物を検査するスキャンカメラなどがあります。このほか、フィルムの厚みを調べる装置など、さまざまな機器を利用して検査を実施しています。

フィルム加工に用いられる金型とは

フィルム加工では、原料を圧縮・成形するための金型が用いられています。金型は凹凸の形状をしたものや、平らな形状をしたものなどがあり、加工方法によって形が異なります。フィルム加工は、主に押出成形が利用されており、原料を押出機から押し出した後、平らな金型へと流し入れてフィルムなどを形成していきます。

フィルムインサート成形とは【加飾の基礎知識】

フィルムインサート成形は、フィルムを製品の形状に沿って成形し、金型で製品に密着させる成形方法をいいます。デザイン性の高いフィルムや、防水などの機能性を付与したフィルムを利用すれば、樹脂製品の意匠性や機能性を高められるのが特徴。樹脂を射出する前にフィルムを製品の形状に成形するため、加飾の位置精度を高めることも可能です。

インモールド成形とは【加飾の基礎知識】

インモールド成形は、金型の中でフィルムを成形し、樹脂製品に転写する成形方法をいいます。フィルムインサート成形とは違い、樹脂製品の表側に印刷面が現れます。

インモールド成形は成形と加飾を一度に行えるため、製品を塗装するケースよりも製品の製造スピードを短縮化できます。また、複雑な加飾も可能で、多色デザインにも対応しています。

TOM成形とは【加飾の基礎知識】

TOM成形は、圧力差を利用して基材にフィルムを密着させる成形方法です。樹脂製品だけでなく、金属へ適用できるのが特徴。さまざまな基材に対して、意匠性や機能性を付加できます。汎用性が高いことから、乗り物の内装・外装部品や電化製品などで利用されています。また、製造時の環境負荷が少ないため、SDGsの取り組みに寄与するのもメリットといえます。

フィルム加工で試作依頼をする場合のポイント

フィルム加工で試作を依頼する際は、金型の提案を受けられるかどうかチェックしてみましょう。また、加工内容や形状・素材など、必要に応じた提案を受けることが重要です。ただし、試作の依頼を円滑に進めるなら、担当者とのコミュニケーションが欠かせません。レスポンスや技術力などもチェックし、安心して依頼できるフィルム加工メーカーを選びましょう。

フィルム加工依頼でVE提案はできる?

機能や品質の向上やコストダウンなど、製品の価値を高めることを目的としたVE提案。フィルム加工依頼においても、VE提案を受けることは可能です。VE提案を受ければ、コストダウンを図りつつ、製品の品質を適正化できます。ただし、VE提案に対応していない加工メーカーもありますので、まずはコストや機能改善について相談してみるとよいでしょう。

フィルム加工に関するリサイクル・SDGS対策について

フィルム加工に関しても、リサイクル、SDGsへの取り組みが広がっています。フィルム加工においては環境負荷低減PETフィルムの開発や、リサイクルが可能な包装紙の開発など、人と地球にやさしいフィルムの製造・加工が行われています。フィルム加工を依頼する際には、加工メーカーが取り組む環境負荷・リサイクルへの対策についても調べておくと良いでしょう。

異種素材接合とは?熱接着フィルムについて

異種素材の接合に適しているのが、熱接着フィルムです。金属・樹脂・セラミックなどの異種素材の接合ができます。熱接着フィルムは加熱によって接着するフィルムで、シート状になっているので加工も容易にできるのが特徴です。さらに優れた強度・耐久性を持つ熱接着フィルムも開発されており、自動車部品や電子部品の接合などに使用されています。

フィルム加工の試作依頼時に確認したい秘密保持契約

フィルム加工の施策を依頼する際には、秘密保持契約の締結が必要です。秘密保持契約を結ぶことで、情報漏洩のリスクを回避します。秘密保持契約を締結しておけば、万が一情報が漏洩したり悪用されたりしても、賠償請求が可能です。契約を締結するタイミングは業務提携を検討している段階ですので、スムーズに契約をすすめられるように具体的な内容を明確にしておきましょう。

ロールtoロールとは?

ロールtoロール方式は、フィルム加工の分野で広く採用されている生産方式の一つです。この方式では、ロール状に巻かれたフィルムを加工設備に通しながら連続的に処理を行い、最終的に別のロールに巻き取ることで製品を仕上げます。最大の特徴は、大量生産に適しており、コストの削減が可能である点です。

アニール処理とは?

フィルム加工におけるアニール処理は、製品に残る「残留応力」を軽減するために重要な工程です。ナイロンやポリエステルなど、用途に応じた多様なフィルム素材は、包装や光学用途に広く使われていますが、成形時の冷却不均一などにより内部に応力が残ると、時間経過や環境変化で変形やひび割れの原因となります。アニール処理によりフィルムを適切な温度で加熱・保持・冷却することで、この応力を緩和し、製品の安定性や品質が向上します。

マイクロスリット加工とは

マイクロスリット加工は、フィルムや金属などの素材を極細幅で切り分ける高精度な技術で、電子部品、医療機器、自動車部品などの製造に欠かせません。一般的なスリット加工よりも細かく、精密性と専用設備が求められます。

ハーフ抜き(ハーフカット)の特徴・メリット

ハーフ抜き(ハーフカット)は、粘着シートの表面と粘着層だけをカットし、台紙は残す加工技術です。製品が台紙に留まるため、取り扱いやすく作業効率も向上します。ラベルやステッカーの量産に適しており、紛失や貼り間違いの防止にも役立ちます。

Tダイ法とは?特徴・メリットについて

Tダイ法は、溶かした樹脂をT字型の金型から押し出してシート状に成形する技術で、透明性や強度に優れた高品質なフィルムやシートの製造が可能です。厚みの調整も自在で、日用品から工業用途まで幅広く活用されています。

穴あけ加工とは

フィルムの穴あけ加工は、薄膜状のフィルムや不織布、セラミックに熱針・打ち抜き工具・レーザーなどで微細な孔を連続・パターン的に形成する技術で、ロールtoロールや枚葉シートでも対応可能です。通気性や湿度透過を向上させることで、食品包装では鮮度維持、医療機器部品では蒸散や滅菌透過の目的で用いられます。孔径やピッチの調整で、液体保持や光散乱制御にも対応可能です。

順送プレス加工とは

順送プレス加工は、コイル状素材を一定間隔で送り込み、一つの金型内で打ち抜き・曲げ・成形などを連続的に行う技術。1ストロークで完成品が得られます。従来の金属部品量産だけでなく、薄膜や金属箔にも適用可能で、高速送り機構と高精度ガイドにより数十μm厚の素材でも寸法ばらつきを抑えた微細加工が行えます。

ナーリング加工とは

ナーリング加工は、凹凸刻印を施してフィルム端部を高く形成し、中央部の密着を軽減する技術です。転造方式と切削方式で凹凸パターンを再現し、巻取り時のブロッキングやキズ防止、巻ズレによる厚薄ムラを抑制します。

コロナ処理とプラズマ処理の違いは?

コロナ処理は、放電現象である「コロナ放電」を利用して空気中にプラズマを発生させ、フィルム表面を改質する技術で、基本的に空気を使用します。一方、プラズマ処理は特定のガスを使ってより精密な処理を行う方法であり、コロナ処理はその一種とされています。用途や精度に応じた使い分けが重要です。

ドライエッジ加工とは?

ドライエッジ加工はテープの加工方法の一つ。テープの両端のみ剥がす、または両端のみを残す加工を指します。ドライエッジ加工を施したテープは、自動ラインでの活用や高精度なテープ貼り、仮止めとして使用するといったようにさまざまな用途で用いられています。

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難加工対応の実績で選ぶなら

オーティス

オーティス株式会社公式サイト
引用元:オーティス株式会社公式サイト
https://otis-group.com/
対応業界
  • 情報機器
  • エネルギー
  • 自動車
  • 医療
  • 半導体
  • 家電
  • 建材
加工精度

公差実力値±0.05mm程度(素材・形状による) 参照元:オーティス公式HP(https://otis-group.com/blog/290/

試作納期

社内保有素材の場合は最短即日納品可能(目標6時間)

特徴1

自社開発の生産設備を多数持ち、金型・治工具の内製化ができる体制により、開発・試作~量産と、製品開発を段階ごとにサポートできる。

特徴2

今後、より求められる技術ニーズを捉えた、フィルムや金属箔などの加工実績があり、歩留まりの改善・難加工材への対応を実現

オーティスの
特徴を詳しく紹介

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高クリーンレベルで選ぶなら

シーエステック

シーエステック株式会社公式サイト
引用元:シーエステック株式会社公式サイト
https://www.cstec-jp.com/
対応業界
  • 情報機器
  • エネルギー
  • 自動車
  • 医療
  • 半導体
  • 家電
  • 建材
加工精度

±0.05~±0.3

試作納期

場合によって即日対応するケースあり。通常、納期の目安は平均1週間程度

特徴1

ISOクラス1(1m²に0.1ミクロンのホコリが10個以下)のスーパークリーンルームを完備、医療品分野などでマストとされる要件を満たした加工環境を持つ。

特徴2

PDMS(ポリジメチルシロキサン)成形や高精度の貼り合わせ加工、アッセンブリ、パッケージングまでワンストップで対応でき、短納期を実現。

シーエステックの
特徴を詳しく紹介

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多彩な加工提案で選ぶなら

大倉工業

大倉工業株式会社公式サイト
引用元:大倉工業 ラミネートサービス特設サイト
https://okura-tasai-tasai-tasai.okr-ind.co.jp/service/lamination/
対応業界
  • 情報機器
  • エネルギー
  • 自動車
  • 医療
  • 半導体
  • 家電
  • 建材
加工精度

ラミネート公差 ±0.2 mm・スリット幅 1 mm~対応

試作納期

小ロット5 m~試作対応、短納期サンプルも相談可

特徴1

打ち抜きだけでなく、貼り付け・貼り合わせ・スリット・ラミネート・脱泡まで⼀貫対応。多種材料をワンストップで提案。

特徴2

R2R/R2S/S2Sの3方式ラミネート+独自カール矯正&クラス1 000クリーン環境で薄膜もフラット・気泡レスに仕上げ、試作から量産までサポート。

大倉工業の
特徴を詳しく紹介

大倉工業に
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【必見】事例紹介あり! 高機能フィルムの加工 必要な設備や技術とは?